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IT駆使し、預金盗む=ブラジル銀行=被害者は数千人に

7月16日(金)

  【フォーリャ・デ・サンパウロ紙十五日】ブラジル銀行内で他人の口座から預金を盗み取っていた五人組が十四日、DEIC(組織犯罪捜査課)に逮捕された。詳細は同課で調査中だが、被害総額は過去三ヵ月で百万レアルを超えるとみられ、被害者は数千人に及ぶとされている。
 銀行が補填するため預金客に実害は及ばないが、犯罪に気がついて被害届けを出した人がこれまでに一人も現われていない。犯人らはEメールやインターネットの偽造プログラムを使用して預金客の暗誦番号や預金残高を盗み取っており、銀行内部にも共犯者がいるとみて警察では捜査を進めている。これまでに他の銀行でも単発的にこの種の犯罪は発生しているが、これほどの大がかりな犯罪は初めてだという。
 逮捕された五人のうち四人は二組の「共稼ぎ夫婦」で、同じ手口で逮捕歴があり、逮捕時に五万六千レアルを所持していたほか、市内に六軒の不動産、七台の自家用車を所有していた。犯行は自宅で十台のコンピューターを使用して行われていた。捜査課は銀行の通報を受けて内偵を進めていたところ、口座保有者が犯人と連絡していることを電話盗聴で突き止め取り調べた結果、犯罪の手口が判明した。
 犯人らは、同銀行の口座所有者に二、三日間口座使用料を支払い、盗み出した預金を一時的にその口座に移し、その後現金を引き出していた。このようにワンクッションを置くことによって、銀行や預金保持者の目をごまかしていた。口座を貸した人物は最高二百レアルの謝礼を受け取っていた。その数は五百人以上に上るとみられているが、警察では詐欺幇助罪で追求する方針だ。知らぬ間に預金を引き出されていた預金客のほとんどが大口預金者で、犯人らは少額ずつ小分けにして引き出していたため、犯行に気づかなかったという。