ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | サントス沿岸で海賊横行=快速艇で漁船急襲=責任なすりあう軍警と連警

サントス沿岸で海賊横行=快速艇で漁船急襲=責任なすりあう軍警と連警

7月13日(火)

  【エスタード・デ・サンパウロ紙十二日】サンパウロ州サントス沿岸で〃海賊〃が横行している。四月に入ってから被害は続出し、週に平均五回強盗団は出没している。
 彼らは四、五人組で快速艇で乗りつけ、船内の品物を洗いざらい奪い闇にまぎれて逃走する。被害に遭うのはほとんどが漁船で、夜半に網を引き上げている時や、島影でいかりを降ろして休息中の所を襲われる。強盗団は機関銃などで武装しており、無線機や計器などを取り外し持ち去る。中にはエンジンを取られた漁船もある。水揚げした魚は手間と時間がかかるためめったに持ち去らないが、大ぶりなエビや高級魚を取っていくケースもある。当局によると、被害は一船当たり二十万レアルにまで上るという。
 この一連の盗難事件の特徴は、後日に決まって被害者のもとにある〃ルート〃を通じて盗難品を市価の十分の一で売りにくることだ。つまり被害者は盗まれた自分の物を買い戻すことになる。被害者は〃ルート〃および海賊の目星はついているが、脅迫されてかん口令のもとに置かれている。漁師や釣り人は「ホラ吹き」と言われるが、この件については誰も口を開こうとしない。漁船のみに限らず別荘地帯のヨットなども被害にあっている。手口は同様で、計器類、テレビなどが持ち去られている。
 「海賊」の手口は似通っていることから同一グループの仕業と見られている。漁船に侵入してからの仕事の手際ぶりが良いことから、犯人は以前乗組員だったと推測される。船員らはこれまでけがを負ったことはないが、警察に余計な事を言うと家族に被害を加えると脅かされている。驚くことに強盗団は船員の家族構成に精通しているとのこと。
 沿岸の警備は野放しの状態で、軍警と連警は責任のなすりあいをしている。軍警は「海岸一帯は連警の管轄で軍警は警備艇すらない」と主張しているのに対し、連警は「入国管理や密輸などは連警の責任だが、盗難事件は軍警の仕事」と譲らない。
 三年前まではサントス沖航海で大型ギャング団による貨物船掠奪事件が横行したが、二〇〇一年のニューヨーク同時テロ多発事件で海軍が沿岸警備を強化したために姿を消している。