7月9日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙八日】上院本会議は七日、ジョゼ・ジョルジェ上議(PFL)が上程し訴訟手続き簡略化と時間の短縮化を求めた司法改革案の一部を、第一次表決で絶対多数をもって可決した。同案は十二年間審議され、司法府や検察庁の機能を大統領府や議会の要請で改革するというもの。同改革には司法府の少なからぬ抵抗があった。残る百七十五項目について上院は意見調整を行い、八月に表決を行う予定。
同案は二部からなる。第一部は下院で表決済みであり、上院の第二次表決が終わり次第、官報で公布できる部分。主な内容は訴訟手続きの簡略化や定年判事の義務、検事総長の権限などからなる。
第二は四年間下院で審議された後に上院で修正された親族起用、司法官の不罰特権、手続きの省略不可能な部分、検察庁人事の基準、軍事裁の判事削減などに関するもの。
これまでの通弊だった裁判長や判事の身内である親族を司法機関の信任職へ起用し、数々の不祥事の原因となることが先ず禁じられた。親族の信任職就任は、同判事が定年退官した三年後以降とした。再度、同案は下院へ回される。
第一部は八月から発効予定だが、司法制度の改革を阻止しようとする司法府ロビイストらの介入が予想されている。ブラジルの国内総生産(GDP)が二〇%増えると、先進国並みの司法制度を取り入れる可能性がある。そうなると訴訟の判決までに、四年間の審理時間を容認されるのが国際的には通例となっているので、訴訟手続きの簡略化は急ぐ必要がないという。
残る百七十五項目は、議論百出が予想される。特に指摘されるのは、弁護士の権限範囲。これまで弁護士が行ってきた控訴手続きの嵐は、裁判の進行を弁護士のペースに巻き込むという批判があった。残酷な殺人など人権に関する犯罪は、高等裁へ上訴した方が有利な判決を得られるという訴訟上の戦略がある。裁判によっては最高裁へ持って行かず地方で片付けるという考えだ。
司法制度改革は、長い歴史がある。エリオ・ビクード下議(PT)が九二年、火ぶたを切り九八年に断ち消えとなった。その後ベルナルド・カブラル上議(PFL)が、新改革案を上程。〇二年に表決の段階まで行き、政権交代となった。
PT新政権でバストス法相は、司法制度改革はゼロから仕切り直すよう進言した。社会保障制度改革と税制改革を優先し、司法改革は後回しになった。
セウソ・リモンジ州高等裁判事は、司法制度改革は先ず刑法と民法の改正から始めるべきで、それなくして時間の短縮も手続きの省略もないという。司法制度改革は、カーニバルだといううがった見方もある。
上院が司法改革案を絶対多数で可決したことから、与党は第二次表決も満場一致で通過し、一連の司法改革遂行を楽観視している。