7月9日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙八日】サンパウロ州連警麻薬捜査課は六日、サンパウロ州グアルジャー市内でイタリア人シーロ・スコナミーロ容疑者(五一)を麻薬取り締まり法違反、公文書偽造、外国為替法違反、犯罪組織結成などの疑いで逮捕した。また、同容疑者の指示で麻薬を国外に運搬しようとしていたポルトガル人を同日、グアルーリョス国際空港で逮捕した。
シーロ容疑者はイタリアンマフィアのメンバーで、コロンビアの麻薬をヨーロッパに送る中継点としてサンパウロ州で暗躍していた。またレバノンの麻薬組織にも同様に麻薬を運んでいた。同容疑者は逮捕時、全面的に罪状を否認していたが、偽名や押収された航空券などの証拠物件を並べられると、罪を認めた。取り調べの後、刑罰が確定すれば、ブラジルで服役した後にイタリアに身柄が移送される。
捜査当局によると、同容疑者はグアルジャー市エンセアグ区のアパートで、コロンビアから密輸したコカインをシャンプーや液体洗剤、リコールなどに混合して小口に分け、外国人旅行者を「運び屋」に仕立ててスペインとオランダに送り届けていた。そこからイタリアンマフィアのカモラ・ファミリーが、ヨーロッパ各地に売りさばいていたという。
手先の「運び屋」は主にアフリカ人で、先ずコロンビアに行かせてエクスタシーなどブラジルで販売する物を〃輸入〃させ、帰りにヨーロッパ向けにコカインを「輸出」するという効率的な運搬を繰り返していた。ブラジル人は、足がつき易いので使っていなかったとのこと。警察署で同日逮捕された「運び屋」の一人の、ポルトガル人ケン・カナザワ・デ・マセド・ブラゾン容疑者(二六)を見つけると「生きてブラジルから出られると思うなよ」と映画のセリフまがいの発言をしたと取り調べ官は驚いている。
同容疑者はイタリアのナポリ市に本拠のあるカモラ・ファミリーのメンバーで、売春斡旋、麻薬取締り法違反の罪で十五年服役した後、九六年に国外に脱出、トルコ(そこで麻薬販売組織を樹立)などを経由してブラジルに入国した。サンパウロ市ではカモラ・ファミリーの南米総支配人的役割を務め、一ヵ月に三千万ドルの販売代金を受け取っていた。この決済は国境の町イグアスー市で行われていた。同容疑者はサンパウロ市でブラジル人女性と結婚し、マリオ・マニエイリ・マリニの偽名でパスポートや運転免許証を所持していた。グアルジャー市でうわべは軽食店を経営、ベンツ車を乗り回していた。アパートからは同容疑者と「運び屋」が発行したヨーロッパ、トルコ、スイス、コロンビア行きの航空代金三万レアルの領収書が押収された。
同容疑者は警察の取り調べに対し、イタリアのナポリ市には母親と二人の兄弟がおり、マフィアに背くと全員殺すと脅かされているため足を洗えないと述懐しているという。