7月7日(水)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙五日】ブラジル人のアメリカへの不法入国が年々増加している。昨年アメリカの警察当局に逮捕されたブラジル人の不法入国者は約五千人で今年も減少する気配は見せていない。いっぽうで他国からの不法入国はテロ防止の厳戒体制から昨年は四一%も減少しており、ブラジルの場合とは対照的だ。
旅行業者は、アメリカの出先公館の対応に問題があるため不法ルートでの入国が後を絶たないと指摘している。不法入国はメキシコ経由が多く斡旋業者も多数介在し、一人当たり八千五百ドルを徴収している。中には砂漠を徒歩で横断したり、川を泳いで渡るルートもあり死亡者が出るケースもあるという。ブラジル当局は、取締りは入国される側の権限となっており、国内業者の違法行為には手の施しようがないとの態度を明らかにしている。いっぽうで外務省筋では、いわゆる出稼者の年間外貨獲得が五十八億レアルと貴重な収入源となっているとし、合法的な入国を模索している。
アメリカのメキシコ国境警備隊によると同国境で不法入国のかどで逮捕されたブラジル人は、九九年は四百八十八人、二〇〇〇年は千二百四十一人、〇一年は三千百五人、〇二年は二千九百四十六人、〇三年は五千八人と年々増加し、今年六月第三週までですでに四千四百人に達している。逮捕された人々は「アメリカに一番魅力を感じる」と述懐しているという。外務省の調べでは、出稼ぎ人気国はアメリカがトップで、パラグアイ、日本、ポルトガルの順となっている。いっぽうでアメリカでの不法入国逮捕者総数は二〇〇〇年の百六十四万人余りから二〇〇二年は九十二万人強、二〇〇三年には九十万五千人と四一%減少しており、ブラジル人の九二六%増と対照的となっている。 アメリカへの移住者が多いゴイアス州では大小の斡旋業者が携帯電話一本で〃商売〃をしている。彼らによるとコヨーテと呼ばれる二大グループが競い合い、時にはアメリカの警察当局にライバル客の動向を密告する程対立しているという。ルートは、以前はバラバラだったが死者が出たことから飛行機と車を乗り次いで移動するメキシコ―ヒューストンが一般的で、費用は一人八千五百ドル。十人集まればチャーター機でメキシコに飛ぶという。
不法入国で逮捕された人の話によると、テキサス州の刑務所は広くて快適、ホテルみたいなもので、テニスコートもあり所内では自由に振る舞える。「外出できないのが唯一の欠点」と彼らは一笑する。