7月6日(火)
【エスタート・デ・サンパウロ紙四日】パロッシ財務相は三日、これまで聖域と見なされた教育や医療、運輸などの予算編成を見直す法案を準備中であると言明した。これはインフラ整備への資金投下優先が目的で、議会の猛烈な抵抗が予想される。教育予算は税収の一八%、運輸予算は燃料税を充当、医療予算は九五年度予算を基準に年々、国内総生産(GDP)の増加率に応じて調整とする予算編成上の連結方式を変更する同案は、これまでにも再々浮上しては握り潰されてきた。
政府は腹をくくって、インフラ整備に本腰を入れる考えだ。財務相は予算編成方法の見直しで、議会へ挑戦状を突き付ける姿勢を見せた。草案は「第三の構造改革」と命名され、徹底的な歳出の見直しを目ざす。現状以上の税増収は困難とみて、経費削減でインフラ資金を捻出する。
これまで連邦令により自動的に歳出を定めていた教育、医療、運輸などの予算編成の伝統的な聖域へ、ルーラ政権は大きく踏み込むと思われる。聖域は予算編成の妨げとして、これまで幾多の政権が憲法改正を試みたが、議会によって否決された。
ラファエル・ゲーラ下議(PSDB)は、政府案阻止で共闘戦線を組織した。同連邦令が予算の足かせとなっているのは承知しているが、教育と医療は下層階級に対する義務だという。同案阻止には、連立与党の中にも共鳴者が多く、最低二十年は現状維持で続けるべきとみている。同下議は政府案の背後に、経済成長を優先する国際金融グループや国際通貨基金(IMF)の圧力があるとみる。
同案で議会対策に奔走する与党代表のパウロ・ベルナルド下議(PT)は、議員は現状に満足しているのか、もっと具体的に問うべきだと強調した。予算編成に連結させる連邦令は、連邦予算ばかりでなく州や市予算にも適用され、全国的な問題となっている。
どこから手直しが始まるかの具体案は明らかでないが、GDPの増加率に準ずる調整から改正を始める考えらしい。財務相は官民プロジェクトへの投資促進で、財界に広く意見を求めた。場合によっては、財政法の一部廃案も示唆した。経済成長に伴う税収増でインフラ整備を賄い、聖域介入を見送る案もある。
議会の摩擦が予想されるのは、税制改革で連邦政府から地方自治体への教育や医療交付金が二〇%削減され、他の目的に流用できるとする「流用予算」案だ。連邦令は八七年、税収の三・五%を自動的に優先部門へ充当すると制定した。それを二〇%へ、引き上げようとした。同案は一度議会で廃案となったが、また浮上が予想される。
ルーラ大統領は〇三年、医療予算に柔軟性を持たせるよう指示した。それによると「飢餓ゼロ」計画や上下水道計画も、医療予算に含まれるとした。公共工事や政治色の強い活動に医療予算を流用する同案には、検事総長を初めとする多数の社会団体から異論があり具体化しなかった。