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興奮と感動=「由紀さおり・安田祥子童謡コンサート」=カンピーナス、舞台と一体=共に口ずさみ涙流す= 100年祭公演に意欲

7月6日(火)

  興奮と感動の一時間半――。三日午後八時から行なわれたカンピーナス日伯文化協会(花田忠義会長)主催の「由紀さおり・安田祥子童謡コンサート」には、約五百五十人が二人のコーラスを聞こうと詰め掛けた。二人がブラジルで歌うのは、六年前のサンパウロ市での「NHKのど自慢」以来二度目。
 「あの時、この時 歌・うた・唄」をテーマに開催された同コンサートでは、童謡「もみじ」など二十曲以上が披露され、由紀さん・安田さん姉妹の美しいコーラスに合わせて一緒に口ずさむ人や涙を流して聞くお年寄りの姿も見られた。曲の合間の二人のトークも軽快で会場を笑いの渦に巻き込み、コンサート終盤には観客が総立ちになって由紀さんと安田さんに歓声と拍手を送るなど熱気と興奮に包まれた一時間半となった。
 はじめにステージに立った花田会長は「日系社会全体にもカンピーナスにも忘れがたい日になるでしょう」と挨拶し、由紀さん、安田さんが登場した。
 由紀さんが「Boa noite」「Muito obrigada」などポルトガル語を交えて挨拶すると、会場はドッと沸いた。また二人は「みなさんの心のどこかに残っている日本の歌を、あの日・あの頃に戻って聞いてください」と呼び掛けた。
 「ふるさと」や「荒城の月」などよく知っている曲になると観客も一緒になって歌い、会場いっぱいの大合唱となった。
 観客から聞きたい歌を募る「リクエストコーナー」では、最初は遠慮がちだった観客も次第に積極的に手をあげるようになり、小さな子からお年寄りまでが曲をリクエスト。当初予定していた三曲を優に超える披露となった。
 NHK紅白歌合戦などでも披露している二人の十八番「トルコ行進曲」が終わると観客が総立ちになって二人に拍手を送った。アンコールは隣同士手をつないで体を揺らしながら「あの町この町」を歌い、会場全体が一つになった。
 このコンサートのためにリオデジャネイロから駆け付けた野村隆子さんは「とてもすばらしい。胸がいっぱい」と大興奮の様子。また日本のコンサートを亡き母と聞きに行ったという栗原洋子さんは「今日も母と一緒に聞きました」と話した。
 二人は感情表現のストーレートな観客にすっかり感動した様子。「みなさんの力強さを感じました」と終了後の感想を話した。
 由紀さんはNHKドラマ「ハルとナツ 届かなかった手紙」の撮影を六月二十五日から一日まで行なっていた。「多くの苦労を味わいながら生活してきた日系の方たちの努力は素晴らしい」と日本移民を讃え、「日系人の歴史を日本全国の若い人たちが知るのは素晴らしいこと」と話した。
 次回は、二人が一緒に童謡を歌いはじめて二十周年になる二年後と四年後の移民百周年に訪れたいと意欲を見せている。
 同コンサートの模様は二十二日NHKテレビ「生活ホットモーニング」で世界放送される予定。