7月2日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙一日】中央銀行は三十日、第2四半期の報告書で〇四年度の予想インフレ率を五・二%から六・四%へ上方修正したことを明らかにした。中銀の試算によれば、〇四年度の国内総生産(GDP)の成長率を三・五%と仮定すると、インフレは中銀の目標の五・五%を超過する。さらに〇五年度のインフレ率は四・二%から四・四%へ修正し、〇六年度は四・五%と設定した。
景気回復に伴い消費者物価の上昇は、避けられないとの見方が強まった。一方で〇三年の混沌とした不況からは、抜け出たという安堵感が市場に広がっている。第1、2四半期の通貨審議会(CMN)の報告によれば、インフレ圧力は予想を明らかに上回っている。
FRB(米連邦準備制度理事会)の公定歩合引き上げを始めとする外的要因や原油の高騰、為替市場の動揺などを考慮し、インフレ圧力は確実に高まっているとCMNは判断した。
中銀と市場関係者の試算には、多少の差がある。中銀は〇四年のGDP成長率を三・五%として、インフレ率を一・二%上方修正した。市場関係者はGDP成長率を四%として、インフレ率を七%としている。
中銀の最大懸念は、インフレ圧力が〇四年だけに止まらず、〇五年も上昇傾向を続けること。中銀は〇五年度インフレ率を四・四%としたが、市場関係者は五・五%で試算している。基本金利の引き下げは、期待が薄らいだようだ。
中銀報告書によると、産業界の設備投資は経済成長率を三・五%に引き上げるには十分といえない。能率向上のために、設備投資を行ったに過ぎない。増産と拡張のための設備投資ではない。インフレを来さずに、経済成長を遂げる状況ではないと中銀はみている。
資本財に対する購買意欲の回復は、目を見張るものがある、しかし、国民の貯蓄と投資意欲は、いま活性化してきた経済を支えるだけの力がないことも、中銀の心配の種だ。
パロッシ財務相は、また点数を稼いだといえそうだ。メルカダンテ上議は〇五年度の目標インフレ率を五・五%とし基本金利引き下げを提案したが、予想インフレ率の上昇は基本金利引き上げによるインフレ抑制がさらに求められることになるとして、同相は上議の案を受け入れなかった。開発銀行のレッサ総裁から要請のあった長期金利(TJLP)の引き下げも拒否され、現行の九・七五%で据え置きとなった。
財務相は低率インフレ下の経済成長を主張。インフレ抑制は、金科玉条として譲らない。メイレーレス中銀総裁は〇五年度にインフレ率は四・五%に抑え、五・五%案を葬った。上下許容幅を二・五%として、七%まで容認する考えだ。
一時は基本金利の引き下げと経済活性化優先の集中砲火を浴びた財務相だが、ようやく窮地を脱出したらしい。財務省は数々の経済指標から、活発な雇用が始まると期待している。