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経済記事の数字のワナ=情勢の変化を常に念頭に

6月30日(水)

  【ヴェージャ誌】数学者のジョーン・A・ポール氏は「数学と新聞」と題する著書を刊行した。日常生活の中で数字が生み出す矛盾のページで、五月二十七日付けエスタード紙B1とフォーリャ紙B7を例に挙げた。
 新聞は事実を報道するために、情報を数字で伝える。特に経済記事に関しては、数字抜きに語れない。しかし事実に立脚し、どちらも数字上は正しいのに矛盾した情報を報道する。エスタード紙は「工業製品の取引高が一九%伸びた」といい、フォーリャ紙は同日の報道で「工業製品の取引高が六・一%落ち込んだ」という。どちらも報道は正しい。
 エスタード紙は昨年同期比で報道し、フォーリャ紙は同年前月比で報道した。二つの矛盾した情報をつなぎ合わせても、読者は正しい情報を把握できない。この二つの記事は、読者をいらだたせるだけだ。
 いったい工業は好調なのか不調なのか、読者はどう判断するか。昨年は泥沼の中で苦戦したが、どうやら苦境から抜け出したらしい。また回復基調にありながら、相変わらず苦戦しているらしいとなる。経済情勢はその流れの中で感じるもので、部外者が数字で表現すること自体に無理がある。
 経済は、生物としてとらえるものという。どちらも経済記事としては正しいが、読者は経済が生き物であり、常に変化していることを念頭におくべきだと同書はいっている。経済記事とは千変万化の中の一局面であり前後の動きを見ながら判断し、先読みをしなければ間違えると警告している。

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