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サンパウロ市周辺地域で人口急増=州平均増加率の6倍=進まない貧困対策、都市整備

6月29日(火)

  【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十八日】サンパウロ市近郊の隣接都市に位置する山間部や荒れ地の〃郊外周辺地域〃の住民が急増している。この傾向は、住宅難などで市内から逃避する住民に加え、干ばつなどに苦しみ新天地を求めて移住してくる北東部地方の住民が周辺地域に押し寄せてくるため。これにより、市の都市開発・整備が追いつかず、同地域の衛生、環境、治安、教育などの問題が取り沙汰されてきている。
 サンパウロ市開発局によると、近郊の人口は九一年にサンパウロ市の人口の一九%だったが、二〇〇〇年に三三%へと急増した。この間、人口は二百十万人を数え、そのうち七十万三千人は他州からの〃移民〃で、とくに北東部からは五十二万一千人と半数以上を占めている。さらにサンパウロ州での人口増加が九一年―二〇〇〇年の間に年率〇・九%だったのに対し、この地域では六・三%を示し、実に六倍強となった。またブラジル総人口の一・六%増と比べても三倍に当たる。逆にグアルーリョス、オザスコ、ABC地区の衛星都市の人口は、この間七十五万人の減少となった。
 サンパウロ市内最大の貯水湖のあるセーラ・カンタレイラ地区は現在、環境保全地帯に指定されているが、不法侵入による住宅建造で環境が破壊されつつある。同地区のジャルジン・パラナを例に挙げると、九四年まで不法居住者は二百家族程度だったが、現在は三千家族に膨れ上がっている。当時は野生動物とくに猿の群生地で、夜は動物の咆哮がこだましたが、今では全く聞かれないという。
 サンパウロ市近郊に人口が密集するのは、ブラジルの台所と言われるサンパウロ市の経済にあやかろうとする期待によるものだが、意に反しこの地域の住民は、貧困から脱け出せないでいる。住民の収入は市内住民に比し三分の一。交通網が不備な上、文盲が三倍を占めるため、定収入を確保出来ない。
 国会ではこうした問題の解決を目指し、都市整備、住民保護の立法化の動きがあるが、実現には時間を要するとの見方が強い。