6月26日(土)
母国より一足早い投票開始――。第二十回参院選の在外投票が二十五日、ブラジル大使館など国内八ヵ所の在外公館で始まった。母国の国政に自らの意思を反映したいと、各地に在住する日本人が足を運んだ。在外選挙権が認められてから初の公館投票を実施したサンパウロ総領事館には、開始時間を前に数多くの有権者が来場。初めての公館投票にも目立ったトラブルを見せることなく、投票日初日を終えた。初日の投票者数は約二百七十人(午後五時現在)。日本では七月十一日が投票日だが、同総領事館では同月三日まで受け付ける。
世界最大の日系社会を抱えるサンパウロだけに、同総領事館管内の在外選挙人登録者も世界最大で、一万千六百五人。これまでは郵便投票しか実施していなかったため、同総領事館は有権者にアンケートを実施し、公館投票者数を予測。期間中に約七千人が公館投票する、とみている。
この日、同総領事館には午前九時半の受付開始を前に約七十人が列をつくり、職員らは待合室に誘導するなど対応に追われた。初の公館投票だけに、選挙担当以外やアルバイトも動員され、総勢六十五人で応対した。
専用に設置された一階入り口から、十一階の待合室をへて、投票を受け付ける三階の多目的ホールに最初に導かれたのは四人。受付でパスポートなどの身分証明書と在外選挙認証を提示した後、投票用紙を受け取り、記入台で候補者名などを記入した。
記入を終えた有権者は、立会人を務める領事が見守る中、受領係に手渡し、投票終了。一人当たりに要した時間は約八分程度だった。サンパウロ市パライーゾ区に住む、田口信二さん(91)は、過去三回の在外選挙は全て郵便投票してきた。午前八時に到着したという田口さんは「手続きがややこしい郵便投票よりは、簡単でいい。投票している実感がある」と笑顔を見せていた。
初の公館投票に備え同総領事館では、全職員に加え期間中に投票事務などに従事するアルバイト四十五人を採用し、万全の対策を期す。待合室にパスポートを置き忘れた男性が一人いた以外、特に目立った混乱は見られなかった。
公館投票はサンパウロ以外の六総領事館では来月二日まで、ブラジル大使館とサンパウロ総領事館では三日まで土日も含んで受け付ける。