6月23日(水)
日系人は、どんな時に日本人の血を引いていることを感じるのだろうか。
「仏壇に線香をあげるとき」「どこかに入るときに靴を脱ぐとき」「箸でご飯を食べるとき」、平成学院(浜崎みゆき校長)に通う子ども達はこう答える。
矢倉晴美さん(39・三世)。彼女は平成学院二チームの振り付けを担当、自らも踊る。以前バレエの先生をしていたことから、ヨサコイの振り付けをするようになった。現在、子供を二人平成学院に通わせる、同校の父兄でもある。
彼女の場合、それは「自分が日系人であるということにコンプレックスを持つ」ことによってであった。
「今でこそ日系人は、ブラジルで認められているが、かつてはばかにされることも多かった。十三歳の頃は、日本語をしゃべりたくなかったし、日本人と一緒にいたくなかった」と語る。
平成学院の始まりは、十九年前、イミリン・ファッチマの日本人会(松本正告会長)で子ども達を預かるようになったことによる。その後、子どもの数が増え正式な保育園として平成学院が登場した。以来、浜崎さんが継続して校長を努め、日本語、そろばん等も教えている。
平成学院は今回、七歳から十三歳までの子供で踊るKIDSチームと、十二歳から四六歳まで(平均年齢二〇歳)の人達で構成するHEISEIチームの二チームで大会に参加する。日系人の割合は九〇%。
前回は、これに婦人チームを加えた三チームで参加したが、今回は一チームあたりの人数を増やすため二チームにした。KIDSチーム五十六人、HEISEIチーム五十三人。前回の総数七十五人より三十四人もメンバーが増えた。
前回は浜崎さんや矢倉さんが声を掛けメンバーを集めたが、今回は自分から「やりたい」と言ってくる人が多く、自然とメンバーが集まった。
矢倉さんは高校を卒業し、南米銀行で働き始めた。その頃からコンプレックスは無くなっていった。「よく覚えてないけど、その頃から日本が世界でも有名になって来たし、それに周りの人がとてもいい人だったの」。
そして、「日本人であるってことは素晴らしいこと!」矢倉さんはこのように考えるようになった。
今は、この思いを他の人にも感じて欲しくて、ヨサコイを教えている。
浜崎さんも、「日本人の
素晴らしいところを子ども達へ伝えたい」との思いがある。「行儀のよいところ、それに自分のことだけじゃなく相手のことも考えてあげられるところ」などが日本人のよい部分だと考えている。
そのため、日本文化や日本語を子供達に伝えたいが「自分たちが伝えたいことだけ一方的に言っても、子ども達が興味を示さなければ駄目だ」と浜崎さんは学校で子ども達と日々接することで得た経験を語る。
このような状況の中で、ヨサコイはとても魅力的なものであった。子ども達は「みんなで踊るのは楽しい」とヨサコイに興味を示す。そして、ヨサコイによって子ども達を日本と関係づけることができるからだ。
「日本文化を残して行くのは大事だと思いますか」との質問に、田里ゆうじ君(13)は「僕らが、一生懸命やらないと日本文化は、どんどん無くなっていく」と答えた。
日本文化への関心が彼には芽生えている。つづく。
(米倉達也記者)
(ブラジルYOSAKOIソーラン実行委員会電話番号11・287・4199)