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学校の週末開放で犯罪減少=悪事のもとの暇を退治=地域コミュニティー広がる=サンパウロ州

6月17日(木)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十六日】サンパウロ州内の公立校が週末に校舎やグランドを一般に解放したことで、この一年間に犯罪が減少した。これは州教育局がとりまとめたもので、それによると、この公立校の在校生をはじめとする青少年の犯罪の減少が顕著で、さらに校内への侵入、部品の破壊や盗みの件数も減った。
 同局によると二〇〇四年一月から五月までの間、〇三年の同時期に比べ被害届けの届け出件数が一六%減少した。特に一月と二月の休暇期間は、犯罪の発生が昨年比それぞれ五六%、三三%と急減した。また校内への不法侵入は三〇%減、部品などのこそ泥が一六%減、盗難(大規模なもの)が二八%減の結果をみた。
 関係筋は犯罪減少の原因を地域コミュニティーが広がった結果だと分析する。週末に校舎を解放したことで、学生を中心とした学校周辺の青少年がサッカー、カポエイラ、ダンス、電子通信機、さらには入試のための模擬試験に打ち込むようになったことから、これまでのように暇をもて余して悪事に走ることがなくなったとしている。また、これを機に学生の保護者も校内に設けられた美容や理髪、電気工事の講習会やトレーニングに参加し、技術を身につけている。家族ぐるみで週末を同じ場所で過ごすことでコミュニケーションが円滑となり、それが犯罪の減少につながったと見ている。
 州政府は昨年八月、ユネスコの後押しで二万五千人の大学生に奨学金を与える代わりに、週末ボランティアで指導することを義務づけた。これが功を奏し、公立校在学生六百万人を上回る七百五十万人の青少年が集うようになった。これと併行し、サンパウロ市もCEU(統一教育センター)を設置した。これは主にスラム街が集中している地域の住民を対象にプールなどのレジャー施設を併設した学校のことで、州のプランと同じ効果を上げている。
 だが、対象的にタボン・ダ・セーラ市では犯罪が日毎に増大しているとし、五月だけで校舎内で三台の車が盗まれ、武器を持った男が校内に侵入してきたという。関係者は「このプランはサンパウロ市内で効果を上げているが、我々の市のような貧困地域にも対策を講じて欲
しい」と訴えている。