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UNCTAD 新マーシャル・プランを提唱=大統領が冒頭演説=途上国の貧困脱却訴え=自力での発展は困難

6月16日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十五日】ルーラ大統領は十四日、アニェンビー会議場で開かれた国連貿易開発会議(UNCTAD)で開会の辞を述べ、途上国による貧困脱却への努力を支援するため「新マーシャル・プラン」策定を先進国へ訴えた。第二次大戦後の欧州諸国復興に向けた米国のマーシャル・プランのような発展計画が必要だと呼びかけた。国際経済は途上国が自力で経済発展できるような環境ではないし、それは困難であると指摘した。
 マーシャル米国務長官の提唱で四七年に始まったマーシャル・プランは、経済援助によって雇用創出や所得確保、貯蓄と再投資を促し荒廃した英国、フランス、ドイツ、イタリアを短期間に復興させた。「平和と進歩」を定着させるため、途上国へ向けた同様のプランをルーラ大統領は求めた。
 途上国は独力で外圧に抗する術がなく、生産品の輸出増進と有利な販売展開が困難になっていると、大統領は訴えた。途上国五十五カ国は過去五年間、経済成長率が二%以下に留まり、二十三カ国はマイナス成長。三%以上の成長は、僅か十六カ国に過ぎなかった。
 六〇年代の一人当たり所得は、先進国の一万千四百ドルに対し、途上国は僅か二百十二ドル。四十年後の今日、先進国は三万二千四百ドルに対し、途上国は二百六十七ドルに留まっていると述べた。
 八〇年に締結された国際貿易促進協定(SGPT)は加盟四十四カ国が批准したが、さらに四十カ国を加え貿易障壁を低減することを求めた。大統領は、開店休業のSGPTの活性化を要求。先進国が障壁を五〇%低減するなら、百八十億ドルも途上国経済を潤すことになると要求した。
 UNCTADは、途上国にとって輸出促進のテコであり政治外交と意見交換の場であると、大統領は位置付けた。国際間に横たわる不平等な慣習と理不尽な障壁は、通商交渉だけでは解決不可能だと訴えた。
 アモリン外相は世界貿易機関(WTO)のスパチャイ事務局長と会談し、ドーハ・ラウンドで保留された農産物問題が大きく前進したことに満足の意を表明した。同事務局長は農産物を巡る先行きは明るいと、国連加盟の百九十二カ国代表に呼びかけた。同件についての意見の相違点について、この機会に最終決着を図るよう促した。
 農産物は途上国にとっては死活問題だが、先進国間には従前通りごり押しする構えがまだある。ウルグアイ・ラウンド決議も先進国の圧力に途上国が屈し、決議は事実上反故にされた。外相はようやく双方が、対等で取引のできるときが来たと期待している。
 メルコスル・インド自由貿易協定も前進した。〇三年に合意したゼロ関税または低率関税六百品目について、九月までに最終結論を出すことになった。現在年間十八億ドルに上る取引は協定締結後、三百億ドルに達すると予想される。
 フルラン産業開発相はUNCTAD開催中に、〇五年のブラジル向け直接投資二百億ドルを取り付けた。同相は〇六年にカントリー・リスクを現在の四百ポイントから二百ポイントに下げれば、経済指標の流れが全て変わるとみている。