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コラム 樹海

  きのう九日は皇太子さまご夫妻の十一回目のご成婚記念日なのだが、雅子さまの明るい笑顔は見られなかった。転地療養をされたりもしているのだが、結果は必ずしもよくはないようだ。ご病気の原因もはっきりとしないけれども、宮内庁との軋轢のようなものがあるらしい。先月、訪欧を前にした皇太子さまが記者会見で「(雅子さまの)キャリアや人格を否定するような動きがあったことも事実です」と語られた▼外務省キャリアで語学も堪能だし外国への親善訪問を望んでいたようだが、伝統を重んじる宮内庁はなかなかお許しにならい。こうした不満が健康を害する理由だとすれ真に悲しい。皇太子ご夫妻が揃って海外にお出掛けになったのはこれまでに三回しかない。皇室外交が持つ重みは大きいし、古くからの「しきたり」も大切ながら、もっと自由さがあってもいいのではないか▼昭和天皇が良子さまとご婚約のときに「宮中某重大事件」というのがあった。良子さまの家系には色盲があり皇室に迎えるのは反対という議論である。仕掛け人は元老の山縣有朋氏であり、皇室への噂や縷説は昔から多い。美智子皇后さまも宮中でいろんな抵抗にお遭いになりご苦労されたの話も伝わってくる。一般の庶民には解り難いけれども「皇室の伝統」が強く働くらしいのである▼けれども、今や平成の世である。今上陛下は第百二十五代であり皇統は世界で最も永い歴史を誇るが、時代の流れに沿った皇室が大切である。もっと明るく朗らかで闊達な皇室であってもいい。  (遯)

04/06/10