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殺人罪判決までほぼ4年=米国の4倍に匹敵=起訴案件の85%は無罪に=サンパウロ州

6月8日(火)

  【フォーリャ・デ・サンパウロ紙六日】サンパウロ州で犯罪者への刑期言い渡しの判決が出るまでの期間は数年に及び、平均してアメリカの四倍に匹敵する。耳新しいところでは先週、百二十年の刑期の判決があった。〃ショッピング無差別乱射事件〃は逮捕から四年半を要した。
 SEADE財団(サンパウロ州資料分析センター)が九一年から九八年までの七百二十六万件にわたる裁判記録を調査した結果、殺人罪の判決は平均千四百三十一日(三年十一ヵ月六日となった。この調査は初めての試みで、結果が出るまでに二年半が費やされた。
 同調査によると、殺人犯の場合のプロセスは逮捕されて二十一日目に取り調べが行われ、七百三十六日目に起訴された後、逮捕後千四百三十一日目に判決となる。有罪の場合さらに四百六日後に刑務所送りとなる。無罪を宣告されても事件の記録までに九百七十七日を要する。このため未決囚を収容する各警察署の拘置所は定員オーバーとなり暴動や脱走の原因となる。罪状別だと、詐欺が千三百三十九日、暴行が千百八十八日、強姦が千百一日、窃盗が千三十六日、強盗が千三日、麻薬取締法違反が七百四十三日となった。
 現在、サンパウロ州の裁判所には十九万九千二百七十八件の起訴案件が審査待ちとなっている。これが各法廷に配分されるので、それぞれ二万五千余を抱えていることになる。
 これまでに長期にわたる審査は、前出のショッピング無差別乱射事件の千六百七十四日(平均よりも二百四十三日遅れ)や、元俳優のギリェルメ被告が恋人で女優のダニエラさんを刺し殺した事件の千四百八十六日(四年二十五日)などだが、いずれも現行犯および自供しているにもかかわらず、精神鑑定に必要以上に日数を要したことが審査遅れの原因となっており、関係筋は科学捜査の充実を指摘している。
 また、婦女暴行の上七人を殺害したいわゆる、「マニアコ通り魔」事件は千百六十六日を要したが、証拠物件である犯人の精子を紛失するという失態を捜査陣は演じている。
 警察の捜査のズサンさから、起訴されても無罪となるケースが信じられない位多発している。サンパウロ市では二〇〇三年に四千八百六十六人が起訴されたにもかかわらず、七百三十人のみが裁判となり、残り八五%は不起訴で放免されている。これは〇一年の七四%、〇二年の八〇%と年々上昇している。
 これについて関係筋は、警察が先入感や誤った判断で逮捕して捜査を打ち切り、証拠物件の確保や裏付け捜査を怠るためだという。