6月4日(金)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙三日】サンパウロ州商業連盟(ACSP)は二日、商店街で五月の現金販売が前月比一三%増加したことで、消費市場は購買力を回復していると発表した。特に回復の兆候が顕著なのは、食品と衣料など消費者の購買力が即時に現れる分野とされる。四月までは、四カ月連続で前月比マイナスであった。自動車の販売状況や州の税収も好調であり、ローンの滞納も減少しているので、五月は力強い経済回復が期待される。
ブラジル経済回復の兆候は、本物のようだ。第2四半期に入って、五月も産業界の動きを反映して消費市場は好調に成長を続けている。常に回復のトップを切って動きを見せる現金取引の食品と衣料は五月、前年同月比で二・五%増。
寒波襲来の影響もあるが、経済の回復による消費者所得の小さな向上が貢献しているとACSPはいう。自動車の販売は四月につまずいたが、五月は前月比六・七%増、前年同月比一五・二%増と顕著に回復している。五月の輸入車に至っては、前月比四四%増という驚異的状況だ。
国産車、輸入車ともに売上げは好調。国内市場の景気動向に大きく左右される国産車の好調な売れ行きは、景気回復を意味する。輸入車は国内市場に永続的な需要があるものと判断された結果とみられる。
税収の増加はインフレ率を差し引き、前月比四・七%増と州財務局が発表した。流通税(ICMS)は、業界の取引状況を最も如実に反映する指標。工場や商店が在庫を入れ替えていることは、消費者需要とメーカーの供給、ローンが動き出したと関係者はみる。
シティバンク調査部は第2四半期の経済成長率を昨年同期比で一・六%増と予測。これをベースにすると年間成長率は四%増という。債務不履行は企業で一一・八%減、個人は一一・五%減と、ともに減少。五月の債務不履行は〇・五%増だったので、落ち込むよりも挽回して蘇生した企業や個人のほうが多かった。
一方、リオの商業クラブ(CDL)調査によると、業界の小切手受取りのCDLへの問い合わせ数が五月、昨年同月比で四四・八%増加した。受取数では三四・五%増。売上も同率増加ということであり、関係者はこの結果に安堵している。問い合わせはほとんど家具や家電製品などの耐久消費財購入であり、まさに消費者の購買力に変化が見えたといえる。
産業開発院(IEDI)は、先物金利が上昇傾向にあるが、実体経済に悪影響を及ぼさないとみている。メーカーの生産は三月で底打ちし、四月はフル生産に入った。景気の寒暖計である段ボール業界は、第1四半期の生産で昨年同期比七%増の増産を続行しているので、回復基調は続くと予測している。
財務省は〇四、〇五年の景気判断を踏まえ、投資環境の整備に関する法案の国会審議遅延が、産業界の景気を損なうことはないとみている。会社更生法、官民プロジェクトの法案、公共事業管理の法案、土木建設の推進案などが、国会の棚でほこりを被っている。