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留学生.研修員制度継続を=OBたち署名運動=日本を知るすばらしい機会=子孫にも体験させたい

6月4日(金)

 日本留学生研修員ブラジルOB会(ASEBEX、木村マウリシオ会長)は県費留学生・海外技術研修員制度を継続させるため、署名運動を続けている。同制度は移住者の子孫に両親・祖父母の祖国である日本で勉学・研修の機会を与え、両国の掛け橋となる人材を育成することを目的に始まった。これまで外務省の地方公共団体補助金により事業資金の半額が助成されていたが、平成十六年度より外務省からの援助が打ち切られ、各都道府県だけで同制度の費用を全額負担することになった。各都道府県では、事業の整理・縮小が懸念されており、人数の削減、滞在期間の短縮、本人の一部自己負担などの対処法がすでに実施されている。 
 阿部貴司アイレスさんは、二〇〇三年度岩手県費留学生として岩手大学工学部で一年間下水処理を学んだ。留学中の二〇〇三年九月に東京で開かれた第四十四回海外日系人大会で、後藤博子参議院議員と同制度の継続危機について話し合い、署名運動を行なうことに決めた。
 その後仲間に呼び掛けて日本にいる間も署名運動を展開した。その時点では目標の千人に程遠い二百人分しか集まらなかった。ブラジル帰国後も運動を継続し、各県人会の行事などに精力的に足を運んで協力を呼び掛けている。
 「留学して自分がナニ人なのかがわかった」と話す阿部さんは、生まれて初めて日本で暮らす祖母を訪問して祖母が健在だと知った。父や母から聞いた事を自分自身の目で確かめることもできた。「ブラジルでは自然は人間以下と思われている。でも日本では自然は人間と一緒に生きている」と話すように、ブラジル人と日本人の違いについて考える機会を得た。「ブラジルでは日本人、日本ではブラジル人だと言われてきた。けど僕は日系人なんだとわかったよ」と語る。
 阿部さんが同制度の継続を願い、署名運動を行なうのは「僕の子どもにも、自分が日本に行った時の気持ちや体験を味わってほしい。多くの人に自然の大切さや人間関係の大切さについて考えてほしい」と考えているからだ。
 「ブラジル日系社会をますます発展させ、日本文化を忘れないためにも私たち一人一人がこのような運動を応援していかなければならない」と呼び掛ける。
 五月三十日現在、七百六十人分が集まっている。第一回目の運動は今月六月で終了。七月に行なわれる日本祭りに合わせて第二回目の運動を行なう予定。
 問い合わせは、電話011・9898・3836(金谷)、eメールayresabe@yahoo.com(阿部)まで。署名用紙はASEBEXホームページ、www.asebex.org.brからダウンロードできる。