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ブラジル&中国ビジネス=ブラジル史上最大のミッションを構成、ルーラ大統領が訪中(中)=短期間に未知の市場に進出

6月2日(水)

目白押しの対中国投資
 ブラジル政府及び経済界の狙いは、二国間の貿易拡大のみならず、両国の企業間の投資増大にも期待している。両国の企業間で既に三百社近いジョイントベンチャーが結ばれている。「世界の工場」から「世界の消費地」に変貌し、各国が中国投資に沸いている中で、この数字は目立ったものではないかもしれないが、ブラジルからこれだけの企業が短期間に未知のアジア市場に進出ラッシュをかけていることは極めて異例である。

重工業
まず石油開発では、ペトロブラスが中国最大の総合化学・エネルギー公社であるSinopec(中国石化工総公司)とのジョイントベンチャーを交渉中である。中国の石油消費は日本を上回り、現在はアメリカに次ぐ世界第二の輸入国であり、ペトロブラスは北京に駐在員事務所を開設し、Sinopecとの協定の交渉をしている。その詳細は未公表だが、中国沿海の石油開発、第三市場における共同開発も懸案に上がっていると予想される。Sinopecは、ブラジルでの開発投資も検討している。
 さらに燃料部門では、アルコール開発も中国とブラジルを結びつける大きな絆になる可能性を持っている。ブラジルは世界最大のサトウキビ生産国であり、アルコール生産も世界一である。中国は現在年間五億リットルの需要があると見込まれ、ブラジルがこの一部を提供することが予想される。中国の経済成長の度合いによってこの需要も拡大することが予想される。
 リオドセは、中国最大の鉄鋼メーカーの宝山鋼鉄(Baosteel)と十年間の鉄鉱石の供給契約を締結している。船積みは二〇一〇年には年間二千万トンに達する予定であり、同社との契約は二〇〇六年から二〇一六年までになっている。リオドセは今年中国市場に三千百万トンを輸出すると予測しているが、それはリオドセ社の輸出総額の五分の一に相当する。中国の鉄鉱石に対する需要は九〇年代初めより増加しており、宝山鋼鉄との協定には、十月まで行われる十五億ドル規模のプロジェクトであるマラニョン製鉄所建設の可能性の検討も含まれている。
 建設会社のNorberto Oderbrechtは、中国人の経済に対する戦略を検討中であり、同国でのプロジェクトに挑む基本方針を発表している。

その他の投資案件
Banco do Brasilは中国との取引拡大の傾向を受け、香港にはすでに設置済みであるが、上海にも駐在員事務所の設立を準備している。同行の中国での目的は、取引の仲介と貿易ファイナンスが対象になっている。そのためBanco do Brasilは、取引リスクを最小限にするため、一年前に同国最大の中国銀行(Bank of China)との業務協定に調印している。
リオグランデドスール州のMarcopolo(バス車体メーカー)は、中国で部品を製造するため、同国のChang Zhou Bus Companyとのジョイントベンチャーを成立させている。計画の初期の段階では、プラスチック部品を製造するため四百万ドルを投資する予定であるが、将来的な計画はまだ発表されていない。
ブラジルの航空機メーカーEmbraerは中国で航空機組立のため、二〇〇二年末より同国の政府系企業のAVIC IIとジョイントベンチャーを行っている。
Varigは八月に両国間の新しい路線を開設するため、中華航空(Air China)とのジョイントベンチャーを交渉中であり、週四便でリオデジャネイロ/サンパウロと北京をつなぎ、ミユヘン(ドイツ)経由の航路を検討している。Varigは南米とアジアとの間の需要が将来的に急速に伸びると予測し、今後二年~三年の間に両地域間を飛行する旅客は、年間二十万人に達すると推定している。ブラジルの自動車部品メーカーのSaboは、現地生産のため中国市場を調査している。
(つづく、高山直己、ジャパンデスク週刊ビジネス最前線より抜粋)