中国は大きい。人口は十三億人を超える。昨年は宇宙有人衛星「神舟五号」の打ち上げに成功し科学技術の水準の高さをも示したし、欧米の企業進出も激しい。日本も例外ではないけれども、撤退をやむなくされる企業が多いのも事実。こんな大国へルーラ大統領が経済人ら五百人近くを伴い訪問し大歓迎を受けたそうだ▼これはこれで大いに結構なことだし大いに喜びたい。中国は大豆の最大輸入国だし鉄鉱への関心も高い。ブラジルにしても十三億人の市場は魅力的な絵巻物に見えるかもしれない。だがーである。ブラジルよりも大きい中国にも問題はいくつもある。あの広大な領土を誇る国がどうして大豆をこんなに輸入するのか。端的に言えば、地図の上での国土は広いのだが、農耕地は極めて少なく―しかも年々減少しているのである▼中国の十三億人のうち八〇%近くが農業人口であり、所謂―経済的な繁栄を誇る沿岸の人々との格差は広がる一方なのも気掛かりなところだ。共産党は六千万人の党員をもち世界一ながら今や中国政府が禁止している「法輪功」の会員は九千万人とも一億人ともいわれる。発展しているのは事実ながら地球規模で見れば驚くことはない▼国民一人当たりGDPは米ドルに換算すると九百ドル。ちなみに日本は三万四千ドル超で世界一。ブラジルも三千ドルを越している。つまり、人は多いのだが物を買う力は弱い。購買力が低いと見るのが経済人としての「眼」ではあるまいか。 (遯)
04/05/27