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文協埋めた若者の熱気=第一回全伯太鼓大会=20団体が競い合う=アルモニア響楽座に栄冠

5月25日(火)

 二十三日午前九時から文協記念講堂で行われた、ブラジル太鼓協会(渡部一誠会長)主催の第一回全伯太鼓選手権大会では二十団体、約四百人が技術とセンスを競い合った。バイーア音楽アシェのリズムを取り入れたり、バチを投げ合って交換したり、様々な若者のアイデアが盛り込まれた演奏に、千二百人収容の記念講堂には二階席まで立見客が溢れ、声援が飛び交う熱気あふれた大会となった。

 「この広い記念講堂が若者で一杯になったのは、五十年の歴史で初めてじゃないか。パラベンスと言いたい」。審査員の一人、日伯音楽協会の北川彰久会長は総評の中で、そう感嘆の声をあげた。
 パラナ州から三団体、残りはサンパウロ州各地から集まった。持ち時間十分間の中で、課題曲「彩(いろどり)」と、各自が創作した自由曲を演奏。たくさんの応援団も駆けつけた。平均年齢は十五、六歳と若く、少ないところで六人、多いところで二十人。大会直前には毎日のように練習に励んできた。今大会には地区予選で勝ち抜いた六団体と協会に推薦された団体、合計二十団体が参加した。
 第一回にして記念講堂が超満員―。この二年間、和太鼓を急速に普及させてきた小田幸久JICAシニアボランティアの総決算ともいえる盛大な大会となった。ほとんどの団体は「気をつけ」「礼」「よろしくお願いします」とおじきをするところから演技を始め、「ありがとうございました」で退場。午後六時頃まで、会場は若者が放つ熱気に包まれた。
 小田さんが審査委員長として総評に立つと、割れんばかりの歓声が沸きあがった。「感動させてもらった。レベルがすごく上がったことにビックリ。その分、審査には頭を痛めた。点数にほとんど差はありません。とにかく素晴らしい大会でした」と語った。
 「飛翔」をテーマにした記念すべき第一回大会のチャンピオンはコレジオ・アルモニアの響楽座。ダイナミックに踊りながら叩き、終始アップテンポで観客を魅了。舞台奥の大太鼓で深い音を響かせた。響楽座は来年三月に東京で行われる日本太鼓連盟主催の日本太鼓ジュニアコンクールに特別招待で参加する。
 二位は、ラップのリズムを取り入れ、舞台の下まで下りて観客にアピールするなど、曲芸的な技を披露したリベルダーデの「ひまわり太鼓」。三位はアチバイアの川筋清流太鼓。上位三チームは、六月十日に文協で開催される日本のプロ太鼓集団、天邪鬼の公演会の前座を務める。
 参加チーム全員に参加賞の楯が贈られた。また特別賞としてジョルナル・ニッポ・ブラジル杯が福博青年太鼓チーム(スザノ)と天竜(サンミゲル・パウリスタ)、ブラジル太鼓協会会長杯がジュンジアイー日伯文化援護協会、JICAサンパウロ支所長杯が無限響(バウルー)、同太鼓協会理事長杯が一心太鼓(ロンドリーナ)、サンパウロ総領事杯が龍舞太鼓(イビウナ)が贈られた。同時に日伯音楽協会から太鼓指導者の小田さんに功労賞のトロフィーも贈呈された。
 審査員は小田さんを委員長に、サンパウロ総領事、北川さん、小田さんの助手として太鼓指導をしてきた瀬戸佑麻さん、小松雹玄JICAサンパウロ支所長ら五人。創造力、技術、基本姿勢、配置、協調性など十項目が採点された。
 同協会は昨年十月に創立し、現在、約六十地区の二千人の生徒が太鼓を学んでいる。