5月19日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十八日】地理統計院(IBGE)は十七日、サンパウロ州の三月の工業生産が、昨年同月比で一二・九%増加したと発表した。全国十四州の調査でもアマゾナス州が三三%増、ペルナンブーコ州が一八・四%増、パラナ州が一六・二%増と全般に工業生産の回復振りが見えてきた。特にサンパウロ州の工業生産は全国の四五%を占め、ブラジル経済の心臓部。サンパウロ州における工業生産の回復は、全産業回復の起爆剤と見なされている。
ブラジル全国で三月の工業生産は、昨年同月比で平均一一・九%増の成果を挙げており、工業は回復基調に乗ったといえる。二月に十四州の調査を行ったとき昨年同月比で増加した州が、九州に過ぎなかった。全国レベルでは一、二、三月と僅かながらも回復を実現してきた。
サンパウロ州の工業生産回復のけん引役は、車両(四五・四%増)、工作機械(二八・二%増)、電気機械(二一・八%増)であった。車両が目立ったのは、輸出の急増と昨年が特に下火だったため。サンパウロ州の工業二十部門のうち十七部門は、昨年同月比で生産が増加し、全般に回復の兆しが見える。
サンパウロ州の工業生産を第1・四半期で見ると、昨年同期比で六・九%増。過去十二カ月間で見ると、昨年同期比で〇・六%増。サンパウロ州の主だった成長産業は車両、家電製品などの耐久消費財と工作機械の資本財の製造部門で、工業のけん引役として他部門を突出しているのが顕著。
耐久消費財財と資本財は、基本金利と融資枠に最も影響を受けやすい部門とされる。昨年から今年にかけて基本金利が二六・五%から一六%へ引き下げられ、同部門は金利の面で最も恩恵を受けた。同時にサンパウロ州の工業は、基本金利の動向で敏感に左右されるともいえる。
生産の伸びがトップだったのは、トラックとテレビ。スカニアは四月、昨年同月比で八一%増と生産を伸ばした。トラック組み立て会社全体の生産は、〇四年の一-四月で二千九百五十三台、昨年同期比で五〇%増の盛況振りであった。
現在生産されるトラックの四〇%は輸出向け。今年一-四月の輸出トラックは千二百五十四台、昨年同期比で一〇五%増。国内市場もトラックがよく売れた。同期に千六百九十九台だったので、昨年同期は千三百五十九台で二五%の増加だった。トラックの売上増は、農産物の豊作が影響している。トラックは収穫期には穀類の積み出しにフル回転し、農閑期には工業製品の運搬に活躍する。
テレビ生産では、東芝が目立った。同社は市場の回復に手ごたえを感じたという。一-四月の売上が、昨年同期比で五〇%増と伸びた。昨年の臨時雇用従業員三百人の雇用を同社は継続している。家電製品のローンが、同業界の目玉の一つであるのは変わらない。ローンは月々、八%で増えている。
労働者の所得も増加したようだ。ローンの焦げ付き分の全額または一部決済が四月上旬、昨年同期比で二五・一%増えた。三十日以上の滞納者は七・三%増えたが、現金払いも同率で増えたので支障はないという。焦げ付き分の決済が滞納より多いのが明るいニュースだと、関係者は見ている。