5月19日(水)
パラグアイ国ラパス市の田岡功市長(六〇、帰化人)が駐日パラグアイ大使に抜擢されたことが明らかになった。同国上院議会の承認を待って公示される予定。田岡氏は徳島県三好郡生まれ。十四歳でフラム移住地(現ラパス市)に入植した。農業に従事する傍ら、同市議、同市議会長を経て現職に。日系農業協同組合中央会の会長、イタプア県開発委員長を務めた過去もある。
パラグアイでは〇〇年の法律改正で帰化人でも外交官職に就けるようになった。ただ、駐日大使就任には日本国籍放棄が前提であり、田岡氏は三月に国籍を放棄している。
田岡氏はニッケイ新聞社の取材に対し、「パラグアイのことをもっと日本人に知ってもらいたい。恩義を感じているパラグアイと日本との橋渡し役になりたい」などと抱負を語った。
また、これまでの経歴を振り返り、「工事半ばで放置されていたラパス―ピラポ間の舗装道路を日本の援助を受け完成させたことがあったし、農協中央会の会長として組合員の移住融資未払い金をJICAより再融資してもらうなど交渉に努めたりもした」と説明。
「言葉を余り理解できない日本人移住者を助け、土地の不法侵入問題や治安問題など、国と政治折衝などもしてきた」とも述べた。
田岡氏は現在、大豆畑六百五十ヘクタールを所有。牛五百頭も飼い、子息と共同で農場経営している。九七年にはパラグアイの戦後移民として初めてとなる国家功労賞を受賞した。
知らせを受けた友人で、アグロ・ニッポ社の内中英世社長と、イタプア県水産局顧問兼JICA水産部門第三国専門家の野澤弘司さんは二十三日、ブラジルからラパス市に駆けつけ、友の快挙を祝ったという。