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食糧自給自足の大切さ=浜美枝さん講演で力説

5月15日(土)

 サンパウロ新聞社は「浜美枝の食文化チャリティー講演会」を十日午後二時より文協小講堂で開催した。協賛はナチュラル・アニュー。
 橋本幸雄ナチュラル・アニュー会長による浜さんの紹介の後、浜さん本人の講演会が始まった。
 初めに浜さんは「困難を乗り越えて活躍する皆さんは私たち日本人にとって誇りです」とブラジルで生き抜いてきた日系人に敬意を表した。
 映画「007は二度死ぬ」の撮影中の生活を「言葉、宗教、思想の異なる異文化体験」と表現し、一世や二世の体験と重ね合わせるなど、日系人の苦労を思いやる場面が数多く見られた。
 農政ジャーナリストとして活躍する浜さんは、日本各地千三百ヵ所もの農山漁村を訪ね歩き、実際に現場を見、声を聞き、また子育てを経験する中で食の大切さに改めて気づいたという。
 「食べることは生きること。食べものは生命そのもの。もっと愛情をもって食べものに向き合う。食を大切にすることは農を大切にすること」と力をこめた。
 「二十一世紀は食糧の自給できない国からつぶれていく」と、尊敬する作家住井すゑの言葉を引用してブラジルと日本の食糧事情に触れながら自給自足の大切さを訴え、「ブラジルは豊かな大地に恵まれたすばらしい国」と語った。
 最後に、浜さん自身が大好きだという沖縄の方言を用いて会場を沸かせながら「国も個人も同じで、失敗を他人のせいにせず、自分の人生は自分の手で幸せを掴むもの」と締め括った。
 参加者のほとんどが女性で、三百人収容の会場に三百五十人以上が集まり立ち見客も出るほどの盛況ぶりだった。
 参加者は「とても良かった。自然の大切さが伝わってきた。自然に触れることによって自然に生かされていると気づき、自然に対する愛情が湧いてくる」と講演会の感想を述べた。
 講演終了後浜さんは「心が温かい方々で楽しい雰囲気の講演会になった。女性がほとんどで、皆さん反応が早くてとてもフレンドリーな感じ。ブラジルを生きてきた日系の人たちの力強さを感じた。次回はゆっくりブラジルを回りたい」と講演会を振り返った。