5月12日(水)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙十一日】ジョゼ・セーラPSDB党首は十日、マルタ・スプリシ市長の任期満了に伴う次期サンパウロ市長選挙へ立候補することを決意した。十六日予定の党内調整は中止し、十三日に立候補の正式発表を行う予定。同党首の決意には、マルフ元市長名義の国外秘密口座の存在確認が大きく影響したようだ。三月調査では最優勢であった元市長が窮地に陥ったため、同党首と現市長との間で決戦投票の可能性が出てきた。
当初十六日に予定していたサウロ保安長官など四人の候補内定者との党内調整は、取り止めとなった。同党首は先週、党内支持者や協力者と懇談した。また支持率調査も行い、有利、不利な点を検討。週刊誌によるマルフ元市長に関する報道が、同党首の決意を固めたようだ。
元市長の政治力衰退が、再選を目指す現市長との決戦の可能性を生み出した。
三月末にダッタフォーリャが実施した支持率調査によれば、マルフ二四%、セーラ二二%、マルタ一七%とあった。たとえ元市長が立候補しても多党派工作によりPSDBとPTの一騎打ちになる可能性が高いと、セーラ陣営はみている。
サンパウロ市長選は、ルーラ政権の寿命を占う小さな大統領選ともいえる。多党派工作はPFLをPSDBへ合流させ、テレビの放送時間を五分から十一分へ延長する。PTはPMDBとPSBを引き込む考えだが、現市長は副市長をPCdoBに固執している。それでは放送時間を八分しか取れない。マルフ元市長は、PP党内でも歩調が乱れ、統一がとれていない。
PSDB党内の市長候補決定は、〇六年の大統領選を照準に入れた駆け引きがあって遅れた。大統領選候補は、サンパウロ市長選候補と抱き込み決定か、持ち駒の多いPSDBは改めて大統領候補を絞るかの思惑があった。アウキミンサンパウロ州知事はサンパウロ市長選にサウロ保安長官、大統領選にセーラ党首と考えていたようだ。セーラ党首は八八年と九六年、サンパウロ市長選に二度立候補し決戦にも入れず惨敗した。
テレビの放送時間の取り合いで党派間の駆け引きが始まっている。PSDBはリオ市長にPFLの候補者を支持することで、サンパウロ市はピノッチ氏に市長候補から降りてもらう。現サンパウロ市長は〇六年のサンパウロ州知事選を土産に、PMDB候補のテメル党首に春風を送っている。副市長候補に、クエルシア氏(PMDB)の息のかかった人間を迎えたくないという現市長の思惑だ。
テメル党首はセーラ候補の旧友で、マルタ票妨害のために立候補するという見方もある。ルーラ大統領に願ってPMDBへ一閣僚席を進呈し、テメル党首を降ろす作戦もある。
エルンジーナ候補(PSB)にも、圧力がかかった。PSBから閣僚を迎えるから、候補を降りろという。しかし、決戦ではPTでなくPSDBを支持するという女の執念がある。
アウキミン知事にはセーラ候補が敗れた場合、責任を追及されない防御の計算もある。バンデイランテス宮で羽根を伸ばして子飼いの側近を集め、〇六年の大統領選に向け着々布石に余念はない。