5月11日(火)
【毎日新聞】ブラジルの弁護士資格をもつ浜松市本郷町の日系二世、石川エツオさん(四二)が、四月中旬に県内では初めて外国法事務弁護士として日弁連に登録された。この資格を取得したことで日本国内でブラジルの法律事務を扱うことができるようになる。同市内でサッカーマネジメント会社を経営する石川さんは「ブラジル人を対象としたビジネスやブラジル進出を計画している日本企業に法的アドバイスができる」と、ビジネスチャンスの拡大に期待を寄せる。
外国法事務弁護士になるには、外国での弁護士資格取得と、三年以上の実務経験が条件。法相が承認し、日弁連への登録が必要だ。石川さんは日本の弁護士資格はないので、日本の裁判所で訴訟代理人になることはできないが、日本の弁護士と共同で渉外的な法律事務を営むこともできる。
法務省によると、これまで米国人を中心に二百十九人が日弁連に登録されている。日系ブラジル人は二人いるが、県内では石川さんが初めてのケースになる。
石川さんは、サンパウロ州生まれの日系二世。大学卒業後、銀行で働きながら二十五歳の時に弁護士資格を取得した。しかし、「父の生まれた日本を肌で感じたい」と思い、二十七歳の時に妻と長男を連れて来日した。
八九年に来日後、浜松市内の自動車部品工場で三年半ほど働いた後、日系ブラジル人などを対象に相談業務をしてきた。サッカー好きだった石川さんは、五年前から米国のサッカーマネジメント会社の業務を請け負い、ブラジルや欧米のサッカー選手の契約のマネジメント業務を始め、〇〇年に個人事務所を開いた。
日本では弁護士資格がないとサッカー選手の代理人業務はできない。このため、石川さんは外国法事務弁護士の資格を取得することにした。今後は、日本人選手のブラジルチームへの入団やブラジル選手の日本チームへの入団交渉時などに、法的なアドバイスができるようになるという。
石川さんは、昨秋発足したブラジル人と日本人の交流をサポートする「浜松ブラジル協会」の会長として、国際サッカー大会の開催などもサポートしている。石川さんは「資格を得て信用度も高まり、日本でのマネジメント活動の幅が広がる。サッカーを通じた日本とブラジルの交流にも貢献したい」と話している。