コラム
サッカーが持つ光と陰を一度に味わった。
五日夜、行われたパウメイラス対ゴイアスによるブラジル杯。試合前、パウメイラス応援団に襲撃されて死亡したコリンチアーノの少年に対し、一分間の黙祷が捧げられた。
唖然としたのは、飛ばされたヤジの多さ。宿敵を応援する奴は死んで当然、と言わんばかりに騒ぎ立てる観衆に、この国が持つ病巣の一面を見た。高い失業率など日ごろ抱える不満を、サッカーで発散しているのだ。
対照的な人間くささを見せたのは、選手だった。引き分けの末、行われたPK戦で、ミスをした味方選手に駆け寄り、慰めたパウメイラス選手たち。殊勲のGKマルコスは勝利の瞬間、真っ先に控えのGKセルジオに駆け寄った。思わず、無心にボールを追い続けた学生時代を思い出した。
一つのボールが狂気と感動を産む。 (記)04/05/07
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