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『アフガン零年』=少年になった少女

5月01日(土)

 二十三年にも及ぶ、長い戦争の続いたアフガニスタン。その最後の五年にあたるタリバン時代には、映画を作ることも観ることも禁止されていた。
 セディク・バルマク監督は、パキスタン亡命中に読んだ「学校へ行く為に髪を切り、少年になったアフガンの少女」という新聞記事を元に脚本を開始。これが『アフガン零年』誕生の発端となった。
 主人公の少女を演じるのは、マリナ・ゴルバハーリ。彼女は、内戦が最も激しかった時代に家と二人の姉を亡くしてカブールに移り住み、脚が不自由になった父親とまだ乳飲み子を抱える母親にかわって、五歳の頃から幼い弟とともに路上で物乞いをして生き延びてきた少女である。
 監督の思いが込められたラストシーンは、泣くことすら出来ないアフガンの悲しい現実を痛いほど切実に物語っている。第六十一回(二〇〇四年)ゴールデン・グローブ賞外国語映画賞受賞。
 [あらすじ]
 イスラムの教えを厳格に守ろうとするタリバン政権下では、女性は身内の男性の同伴なしには外出が許されなかった。そんな中、生計を支えるべき男たちを全員戦争で失い、祖母と母親、そして十二歳の少女の三人だけになってしまった一家があった。彼女たちは外出も出来ず生活の糧を失う。母親は仕方なく少女を男の子に変装させて働かせることを決意。バレた時の恐怖に怯える少女をなだめると、そのおさげ髪をバッサリと切り少年の姿にして、亡き父の戦友だったミルク屋に働きに出すのだったが…。
 ポルトガル語名 オサマ(原題と同じ)▼製作 アフガニスタン/日本/アイルランド、二〇〇三年▼監督 セディク・バルマク▼出演 マリナ・ゴルバハーリ(少女)、モハマド・アリフ・ヘラーティ(お香屋の少年)、ゾベイダ・サハール(母)、ハミダ・レファー(祖母)▼年齢制限 十二歳▼公開日 四月三十日封切り。
 

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