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ロンドーニア ダイアモンドを密輸=先住民、空路で出荷=独自に鉱山経営開始=にわか成金で放蕩三昧

4月27日(火)

 【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十五日】連邦警察は二十四日、ロンドーニア州ルーズベルト先住民保護区のシンタ・ラルガ族が大規模にダイアモンド採鉱を行い、空路で密輸していることを明らかにした。ラルガ族は空輸には単発機セスナを一回千五百レアルでチャーターし、近隣の市で待機している密輸業者に納品している。ダイアモンド密輸によって得た資金で空港を先住民の部落内に設置し、ここを拠点にセスナは発着していた。

 連警の出張所がないカコアル市は、密輸取引が行われた場所の一つだ。同市は、人口七万三千人の都市でルーズベルト保護区から二百キロメートル離れている。その間八十キロメートルのみが、アスファルト舗装されている。
 密輸業者との連絡はシンタ・ラルガ族のパンデレ鉱区支配人が、宇宙衛星を利用したグローバルスター電話で行う。アマゾンの先住民保護区では、携帯電話が機能しない。同支配人は七日の殺害事件以来、行方をくらましている。
 同支配人は昨年、四十万レアルで購入した大型掘削機と森林伐採やダイアモンド採鉱を大規模かつ組織的に運営している様子を記者に公開した。これまでシンタ・ラルガ族は、ダイアモンド採鉱現場を大幅に拡張した。連警が昨年末時点で上空から確認しただけで、大型機を取り入れた本格的採鉱現場と鉱夫の宿舎群など一連の施設を整えた五カ所が発見されたという。
 匿名を条件とした政府職員の話では、先住民は取引の度に大型トランク一杯の札束を受け取る。密輸業者には先住民と交渉する仲介人と欧米へダイアモンドを運搬するかつぎ屋の二組がいる。
 この密輸組織には、連邦職員も一枚かんでいる。〇二年十月、連警とFUNAI(国立インジオ基金)職員十四人がダイアモンド密輸容疑で逮捕された。〇三年には連邦職員四人が逮捕、七人が事情聴取を受けた。〇四年は同職員十五人の他、多くの企業家が密輸容疑で逮捕された。
 密輸業者はダイアモンド購入の前払いとして、トヨタや三菱のピックアップやトラック、銃器、カコアル市の邸宅などを提供する。シンタ・ラルガ族は、水力発電所やディーゼル油の貯蔵タンクも建設中。部落の電化を計画している。近隣都市の商店では、先住民は上得意。歓楽街は先住民による連日のドンチャン騒ぎで賑わっている。
 先住民の話によれば、ルーズベルト保護区から産出されるダイアモンドはシンタ・ラルガ族の福祉のために充当されるものだが、政府の採鉱認可が手間取った。先住民は〇三年、一方的に独自採鉱を宣言し、ダイアモンド鉱山の経営を始めた。取引相手として手続きののろい政府機関をやめて、密輸業者へ走ったようだ。
 人類学の専門家は、先住民にダイアモンドの採掘権を与えたことを非難した。金銭感覚の不十分な先住民が大金を握り、鉱夫との接触で麻薬やアルコール飲料などの味を覚え、鉱夫二十九人殺害の遠因になったとみている。先住民はこれまで自給自足経済が基本であったが、ダイアモンドを通じて散財の面白さを体得した。