4月20日(火)
「一言、申し上げたいことがある」。十七日午前十時半から展示室で行われたブラジル日本文化協会(上原幸啓会長)の第四十八回定期総会で、執行部側から本年度の事業計画と予算案の説明があった後、評議員として前席に座っていた原沢和夫さんは、マイクを持って立ち上がった。普段は温厚さで知られる原沢さんだが、意を決した真剣な表情を浮かべていた。
「事業計画も予算案も拝聴し、『コロニア』誌も見たが、来年は文協創立五十周年であるにも関わらず、そのことにまったく触れていないのは、どういうことか?」と憤慨した様子で疑問を呈した。「大きな節目を来年に控えていながら、一つも事業計画に入れてないのは、残念でしかたない。早急に入れるようにしてほしい」と注文した。
百周年記念事業に関連して、文協ビル売却案があることについても言及し、「これはとんでもないことだと感じた。文協の古い会員には意外なこと、ビックリしたと思います。確かに日伯総合センター構想は素晴らしいものかもしれないが、実現できそうもない。文協ビルを売るようなことは、絶対に許されない。失言であったと言ってほしい」と強い調子で訴えた。
渡部和夫改革委員が総会議長として、〇四年事業計画を説明した吉岡黎明副会長に返答を指示。吉岡副会長は「五十周年についてはミスでありました。失敗を認めます。みなさんに迷惑をかけたことを謝りたい。原沢さん、思い出させてくれて、どうも有難うございました」と述べたが、文協ビル売却発言については、一切コメントしなかった。
この総会に出席した創立会員は原沢さんの他、やはり前席に座った岩崎秀雄前文協会長、内山勝男サンパウロ新聞編集主幹ら三人。
続いて、岩崎前文協会長も立ち上がり、「上原さんらは非常に苦労されてまいったと思いますので、敬意を表します。しかし、上原会長は〇五年三月一杯で任期切れになるが、その後も、続いておやりになり、その時には文協五十周年を、ぜひお忘れなく」と釘を刺した。
また、田辺豊太郎評議員もマイクの前に立ち、「文協は十年かかって、UNENを作ったが、さっぱり動いていない。いったい何のために作ったのか? 仏作って魂入れず、ではいけない」と訴えた。
川合昭氏、第6副会長に
総会には百六十三人の出席があり、最終的に、〇三年度の事業報告と会計報告、〇四年度の事業計画・会計案は拍手で承認された。
引き続きその場で、臨時総会を開催。注目の新設職、第六副会長職には、オザスコ市日伯文化体育協会副会長、元秋田県人会会長の川合昭さん(六八)が選任された。主に一世とのつながり、日伯間の交渉役が期待されている。第七副会長には、文協青年部の創立者であるヒデシマ・マルセロさんが弱冠三十四歳で就任。若者を取り込む活動が期待されている。
その他、企画・予算理事にはナガイ・マルセロさん(三三)、渉外理事には元UPK会長のユキ・ルイスさん、文化担当理事にはオオタ・ススム・レオさんが選任された。昨年末に辞任した岩崎透理事の後任には頃末タツヒコ・アンドレさんが選ばれた。
上原会長は閉会の言葉で、「いろいろな提言をいただき感謝したい。広報活動などに不足があるのは、全て私の責任です。来年の五十周年を忘れないようにします。心の底から有難うと言いたい」と締め括った。