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政府 軍出動要請を拒否=細かい指示に不快=市全域に戒厳令の可能性=連邦と州、互いに責任転嫁=リオ

4月15日(木)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十四日】リオデジャネイロ州のスラム街騒動を鎮圧するため、陸軍の出動を示唆した政府は十三日、ガロチーニョ同州保安長官からの出動要請を拒否した。同保安長官の要請は、四千人の海兵隊落下傘部隊または陸軍特殊部隊を出動させ、スラム街八カ所を占拠するというもの。大統領府は、州長官が国軍に命令するような要請内容に不快感を覚えるとした。市街戦の訓練を受け、火炎放射器を装備した陸軍二個師団二千八百人が、出動で待機している。

 政府から派遣されたコレイア国家保安局長官を交え、リオ州治安会議が開かれた。ガロチーニョ長官は席上、出動要請の文書を手渡した。スラム街ボレルとデンデ、マンゲイラ、アレモン、サンカルロス、ジャカレジーニョ、マレー、メトラルを包囲して戦略拠点を占拠するには、四千人規模の部隊が必要だとみている。
 未訓練の軍警四千人を配置しても、全スラム街の鎮静は困難とガロチーニョ長官は述べた。海兵隊や陸軍特殊部隊なら、駐留するだけで鎮圧が可能であり、軍警はスラム街から引き上げ、事後処理に当たらせるとした。
 大統領府は十四日、リオへの出動について緊急会議を開く。バストス法相は同文書をまだ読んではいないが、署名は州知事でなければならないという。軍隊の出動や隊員の配置は軍の判断によるもので、州に指図されないと述べた。スラム街に限らず、市全域に戒厳令が敷かれる可能性もあると語った。
 政府の不快感表明に対し、ガロチーニョ長官は国軍の出動要請は以前にも経験済みで、結果は最善の策とはいえなかったと評した。しかし、国軍の出動は政府の好意であるから受ける。好意を無にすると、州民とともに失礼になると皮肉を込めて同長官は述べた。政府と州は、麻薬問題をはさんで責任をなすり合った。
 政府は、麻薬組織の鎮圧よりも要請内容が重要だとしている。リオ州の治安機関が犯罪組織の制御能力に不十分なのか、州政府に問題解決能力が不十分なのか分析すると述べた。
 一方、州政府は軍の出動を要請するが、連邦政府の指図は不要とけん制した。犯罪組織鎮圧の作戦と戦略は、現地の事情に精通している州が決めると述べた。軍の出動は大統領と法相の好意で提供されたもので、州政府への応援だとみている。軍の行動結果は軍の責任で、政治的責任は州にないと同長官は語った。
 連邦政府にとってロッシーニャ・スラム街の騒動は、眼中になく、リオ州の麻薬組織に対する連邦政府と州政府の責任範囲が重要らしい。問題は、まだある。スラム街の麻薬戦争前夜なのに、リオ市警はストに入る。連警リオ支局長辞任の噂などだ。
 英紙フィナンシャル・タイムズが「なぜガロチーニョ長官は、大統領になれなかったのか」と取り上げた。次期大統領選に向けた同長官のパーフォーマンスだと、同紙はみている。