4月15日(木)
滞聖中の岡島博「アマゾン群馬の森」会長(北伯群馬県人会会長、カスタニャル在住)が、十三日午前、同森のプロジェクトは順調、と語った。パラー州、群馬県、JICA(国際協力機構)の三者が(1)東部アマゾン地域の森林保全、(2)一般を対象とした環境教育、(3)森林農業の推進――の三本柱でもって、すすめている、という。
岡島さんによれば、プロジェクトの趣旨は「人間の営みと自然との調和を目指して」。岡島さん自身は「戦後移住した一世として、このブラジルになんらかの形あるものを残したい」と言う。
群馬県は、すでに専門家二人をプロジェトのために派遣している。その一人は、ピメンタ・ド・レイノのフザリューム病害の研究で博士号を取得した池田ケンタロウ氏。プロジェクトの三本柱の一つは、森林農業の推進だが、ピメンタなど農作物栽培と森林(植林)を〃共生〃させることは、まさしく、これである。
パラー州のピメンタ栽培は、フザリューム禍により、長年不振である。新興のベトナムは生産量においても輸出量においても、世界のトップクラスに躍り出た。わずか十年の歴史しかない。一般に、東南アジアはピメンタの病害虫が少ない。かつての大生産地であり、四十年も病害虫と闘ってきているトメアスー周辺地域が病気克服の〃決定版〃を出さないと、完全に取り残されてしまう恐れがある。池田専門家はパラー州当局とも連携し、鋭意、対策を模索しているといわれる。
岡島さんによれば、森林農業は、確固とした定義がない。分かりやすくいえば、植樹と農作物栽培を同じ土地で同時に進行させる、といった方法を指す。選択樹種もまちまち。例えば、同じ畑に混植し、農作物は単年ないし短い年月で収穫、樹木は遅ければ数十年後に収益を見込む、といった形になる。
樹種は、貴重なマホガニーなども選ばれているようだ。マホガニー材は世界的に蛾害により、生産が極めて少ないといわれる。アマゾンの森林農業によって、虫害が克服され、生産がすすめば、第一級のノヴィダージとなろう。
岡島さんは森林農業の実践者は、トメアスーについてだけいえば「全家族(全農家)だ」と言った。ピメンタをはじめとする農作物のみでなく、森林材を生産する森林農業は、いまや同地方では必須のこと。「アマゾン群馬の森」の三本柱の一つとされていることには、大きな意味がある。
環境教育に関しては、従来通り、群馬県から子供大使を迎えたりするなど、森を役立てていきたい、としている。