4月9日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙八日】農地占拠運動(MST)メンバーがバイア州のユーカリプト植林農場で無断伐採の狼藉をはたらいたことで、ミゲル・ロセット農地改革相は七日、事件の四十八時間後に初めて、MSTに鉄拳を下した。占拠した農場は生産中で、蛮行は容認しないと叱責。MSTが一斉蜂起をしても農地改革に何ら供しないと警告し、地方といえども法律の枠内で改革は行われ、特例は認めないとした。
政府は遅ればせながら七日、バイア州ポルト・セグーロ郡のヴェラセル農場での植林伐採など、MSTの不法行為に初めて反応した。占拠した農場は多国籍企業ヴェラセル・セルローズ社の所有林で、同社はブラジルの無法で無秩序な社会状況を厳しく非難した。
農地改革相の警告はヴェラセル・セルローズ社の所有林を占拠したMSTに対し、官憲の強制撤去によらず平和裡に自主退去を宣告するという生ぬるいものであった。MSTの不穏な動きは三月末からあったものの同相は六日、農地改革は法律の枠内で行われると忠告しただけに留まった。
農地占拠騒動は現在、ブラジル全州の半分で起こっている。ステジレMST代表は三月二十六日、ブラジルの「撹乱宣言」を発表して七万五千人のメンバーを動員していた。大統領府は八日になって、ようやく腰を上げジルセウ官房長官とロドリゲス農相、農地改革相の三人でMST善後策を協議することになった。
ルーラ大統領が農地改革は圧力に屈して行わないと声明を発表しただけで、農地改革相の声は消された。一方、MSTの他に大小七十の農村労働者団体や宗教組織が背後にある団体が活動に参加、政府の知らない運動が年初から隠密に行われていた。農村工作隊の組織は、外国から指導を受けていたようだ。
北東伯地域のMSTが最も過激で、MST活動の先鋭的役割を果たしている。政府も、北東伯の暴力的活動を注視している。ペルナンブッコ州のMSTは、三十四農場への占拠を十七日まで続行すると宣言した。MSTはこれ以上、政府を信用しないと無策振りを嘲笑しているかのようだ。
ステジレ代表の「赤い四月」は、虚仮威しではなかった。同代表はインターネットのウエブサイトで「ブラジルは目覚める時」と呼びかけるメーセージを四万人に配布した。農地改革は国立農業協力改革院(INCRA)の仕事ではなく、ルーラ政府の仕事だと断言。農地改革が進展しないのは鈍重な政府組織のためで、解決法は人民蜂起による圧力しかないという。
同代表はMSTの目的として、貧困撲滅ばかりでなく雇用創出も強調した。手をこまねいて待っているだけでは、MSTが選出したPT政府でさえ下層階級に手を差し延べることは永久にないと述べた。いまこそ下層階級が立ち上がり、行動を起こせとサイトで呼びかけた。MST部隊は七日、一万五千百二十七世帯に膨れ、全土の四十六農場へ散在している。