童話の中だけに生きるはずの人物が時に現実として現れる。
鋭い社会風刺の側面を持つアンデルソン作の「裸の王様」である。
仕立屋に騙され、実体のない服を着た王様は、裸のまま得意げに歩き回る。頭のいい人しか見えない、という触れ込みに怯え、家来や国民の誰もが心の中で笑いながらも、透明の服が見えるふりをし続ける。
ここで舞台をコロニアに移してみよう。
「王様」は移民百周年祭典協会、「透明の服」は日伯総合センターだ。
約七十億円を要するセンターの建設など誰もが夢物語だと思っていながらも、異論が上がらない状況は「裸の王様」童話そのものである。
童話では「王様は裸だ」という子供の一言で一同は正気を取り戻す。
さて、コロニアではどうなることやら。(記)
04/04/09