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MST、全土で大攻勢=14州70農場に侵入=大統領の警告無視=地主ら、武装で待機

4月7日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙六日】農地占拠運動(MST)の各グループは五日、全国にまたがり合同で占拠大攻勢をかけ、二日からこれまでに、十四州で七十農場に侵入した。政府は暴力的手段による圧力のもとに農地改革を行わないと、ルーラ大統領は警告したが無視された。最も運動が先鋭化したのはペルナンブッコ州で、MSTが二十カ所、農村労働者連盟(FETAPE)が二十一カ所、その他が三カ所を占拠した。

 MSTのステジレ代表は三月二十七日、大統領と南マット・グロッソ州で会見し、MSTによる大混乱を全土に引き起こすと宣言した。MST幹部の話では、占拠活動は四月いっぱい続行するという。目的は農地改革を能率化するための政府への圧力だとしている。
 これまで政府は待機中のMSTメンバーに食料を提供し、対話の窓口を保ってきた。しかし、農地改革は法の範囲で実施するとした暫定令を無視したMSTの過激な活動が新たな摩擦を引き起こしている。
 リオデジャネイロ州カンポス郡の地主連合は五日、占拠防止と法廷闘争に備えて牧牛を供出し、資金カンパを始めた。同郡の地主二百五十人は、侵入の噂があるサンタエレーナ農場へ集結した。地主らは資産を守るための正当防衛だとして、全員武装。MSTの狼藉を見過ごす、政府の無能を地主らは非難した。
 一方、サンパウロ州ポンタル・ド・パラナパネーマ地方に集結しているMSTは六日、集結地周辺に警戒体制を敷いた。アウキミンサンパウロ州知事に抗議するデモ行進をプレジデンテ・プルデンテ市で行う予定。MST千七百人が同市に隣接した土地の国道沿いに小屋がけをして、異様な雰囲気が漂っている。
 ポンタル・ド・パラナパネーマのMSTは、往年のリーダーであったジョゼ・ライーニャ氏や妻のジオリンダ・ソウザさんによって指揮されている。州政府は農地改革にこれまで協力的であったので秩序は守るとMST代表は表明した。
 同地方は当代地主の先代が、力づくで取得した土地が多い。土地の権利書なども不備な点があり、複雑な問題が絡んでいる。
 またロドリゲス農相とバストス法相、レベロ政調会長、ロセット農地改革相は五日、農村部でも法による秩序は絶対的なものとする声明を発表した。同農地改革相はMSTの活動が、民主政治の限界を越えたものであるとけん制した。同農相はMSTの圧力で国家予算が放出されると思ったら大間違いだと勧告した。
 南マット・グロッソ州のジョゼ・ミランダ知事は、州内のMSTによる不穏な動きで六日の予定を中止した。同州の四十七郡の国道沿いでは、一万八千世帯が鍬や鎌で武装して気勢を挙げており、道行く乗用車やトラックから通行料を不法徴収している。