新潟県の佐渡島と言えば「金山」として知られ江戸のころは幕府の天領として賑やかだったらしい。佐渡は日本海を海路とし活躍した北前船の寄港地でもあったし何かと話題の多いところだ。何よりもいいのはコメも栽培できるし魚も豊かな完結型の島であり「自給可能な理想郷」なことが素晴らしい▼ここには一市七町二村の自治体があったけれども、これが一つになり「佐渡市」となったという。今、日本が進めている市町村合併によるものだが、これだけの市町村が纏まるのは大変だったろうと思う。現在の市町村議員は百五十八人。これが四年後には三十人になる。職員も約三百人が減少し十年間で人件費が約百七十億円、物件費は五十六億円が削減できるそうだから、これだけでも大きい▼佐渡島は沖縄本島に次いで大きな島だけれども、今や車の社会だし役所に行くにもそれほどの不便はあるまいし、行政の効率も高まるに違いない。この日本海に浮かぶ島は観光で知られるが、この十数年で訪れる観光客は下降線を辿っている。曾ては年間に百二十万人もいたのが現状は八十万人を切っている。鬼太鼓と能楽や国際保護鳥のトキもながら多彩な梃入れをしないと往年の繁盛を取り戻すのは難しい。そのためにも一大合併の効果は大きい▼岐阜県の中津川市と島崎藤村が生まれた長野県山口村が県境を越えて合併することも決まっているし、この合併劇では昔の地名が滅びたりの哀しみ、カタカナの名前がついた市町村もあると厄介ながらこれも世の流れというものか。 (遯)
04/03/30