3月27日(土)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十六日】ブラジル地理統計院(IBGE)は二十五日、全国の失業率が一月の一一・七%から二月には一二%へ増加し、六大都市の失業者は二百五十万人になったと発表した。大サンパウロ市圏が失業者総数の四八・五%を占め、同圏の失業率は一二・九%から一三・六%へ増加した。Dieeseは二十四日、大サンパウロ市圏の失業率を一九・八%と発表し、一九八五年の統計開始以来で最悪の状態と報告している。
一月は年度決算のために採用を見合わせていた企業に、二月は求職応募者が殺到したようだ。就職希望者は、一月から二月にかけ三・三%増加した。昨年二月の失業率は一一・六%であったため、好転も悪化もなく停滞状態といえる。雇用創出の努力も、行われなかったということ。
昨年の統計と比較すると、一・五%の就労者増加がある。未登録労働者は、昨年同月比で四・八%増。独立営業へ進んだ人は、昨年同月比八・八%増。どちらも所得は低下、労働条件も悪化している。正規労働者は昨年同月比一・九%減。所得の低下は、昨年より緩やかになった。
就職前線は、完全停滞だ。熟練労働者や技術者も、好き嫌いはいえない。ある仕事なら誇りも見栄も捨てて、職に就かざるを得ない状態にある。給与所得者にとって冬の時代だ。
IBGEとDieeseの調査結果には、少なからぬ差がある。IBGEは三十日以上失業している人を計上し、調査前日に失業した人は含まない。Dieeseの調査には、糊口を凌ぐ日雇い労務者や不本意就労も失業者に入れた。
独立営業とは露店商や行商などで、日々の家計の足しを求めたもので定額収入の見込みはない。不本意就労は過去十二カ月、希望の職種に就けず専門外の職種に就労の人たち。
労働省とサンパウロ州工連(FIESP)は二月、雇用と生産で景気回復の兆候があると発表したばかり。しかし、IBGEの調査結果を見るかぎり、回復の兆候は失業者の大群で帳消しにされたようだ。労働省とFIESPの調査は、巷に溢れる失業者群を計算に入れてなかったようだ。
さらにIBGEは家庭訪問などで戸別調査を行い、労働省やFIESPは企業へ電話で連絡し調査をする。ここでも大きな差が出る。
二つの異なる結果で共通することは、自分の才能を活かせない多くの不本意就労者がいるということだ。