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コラム 樹海

  沖縄の石垣島の北北西約百七十キロの東シナ海に浮か尖閣諸島は魚釣島など五つの島と三つの岩礁からなる日本の領土である。戦前には寝具に使われるアホウドリの羽を採集したり漁師が移住し明治末期には二百四十八人が暮らした記録も残っている。明治政府が一八九五年に閣議決定を行い「日本領土」としたのも島の所有国がいなかったことによる▼この固有の領土に中国人ら七人が上陸し沖縄県警に逮捕されるという事件が起きた。言うまでもなく不法入国であり、本来ならば法律に従って起訴され裁判になるはずである。沖縄県警の高橋本部長も「法令に従い処理する」と話していたが、小泉首相らは「強制送還」という異常な決断をしてしまった。中国政府が、この事件を重視し猛反発しているのに気配りしたものと見られる。所謂―政治的な動きである▼だが、こうした「特例」は後々までに問題を残すことにならないか。中国が尖閣諸島の領有に関心を示したのは七〇年代になってからであり、国連などの調査で同諸島の海底には豊富な油田があるの可能性が指摘されてからで九二年には領海法で「同諸島は中国領」とし、台湾も九九年に同じように領土権を主張している▼しかし、これらは勝手な言い方で何ら根拠はない。中国政府の言い分も勝手気儘なもので残念と申すしかない。もし日本の特別な配慮が誤り伝えられ次ぎの不法入国者が続かないの保障もない。ここは沖縄県警の観点でもある「法の遵守と処罰」が正しいと思う。   (遯)

04/03/27