3月26日(金)
ブラジルの地方紙に日本語ページ――。「ジョルナウ・レジオナウ」(発行部数約五千部)はレジストロを中心とした十四市町村で発行されている。日本語学習を怠ったというジョゼ・ロベルト・B・サトウ編集長の贖罪から、毎週金曜日に日本語欄を開設。今年、丸二年が経った。ボランティアでペンをとる金子栄一さん(六三、新潟県出身)に取材活動への思いなどを聞いた。
「人の悪いことは書かない。明るく人を励ます記事を紹介したい」
編集方針について、金子さんはそう語る。現地文協の渉外担当であることから、サトウ編集長より協力を頼まれた。
同編集長は幼いころ、祖父より日本語学習を薦められた。が、おろそかにし、今になって後悔している。罪滅ぼしの気持ちから、日本語欄をつくることを決意したという。
金子さんが取材して記事を書き、日系二世の村松一喜さん(医師)がポルトガル語に翻訳。紙面には日伯両語で紹介される。村松さんも、ボランティア・スタッフだ。
「文協の広報活動につながると思って引き受けました。でも、最初は原稿を書き上げるのに結構、苦労しました」と金子さん。
二年後の今は、「デカセギにいった人が日本で貯金して、こちらの医学部に進学しました。また、交通事故で腕を切断した青年が元気に野球をしています」とアイディアが止まらない。
三月十二日付けの日本語欄をめくると、SBC病院支援の慈善カラオケ大会、道南口説民謡大会など計六本。国際女性の日(八日)を記念して現地文協が婦人会代表十三人にバラ一輪をそれぞれ渡したことも大きく扱われている。
同紙の発行部数はおよそ五千部。レジストロ市や近郊のジュキア、ミラカツなど十四市町村を〃守備範囲〃に置く。一部一レアル。
「レジストロの現状を知ってほしいから、姉妹都市の岐阜県中津川市にも送っています」
金子さんは「これからも、いいニュースを厳選して文字にしていきたい」と意欲を燃やしている。