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「あらすじ」初公開=70年ぶり再会する姉妹=入植地の対立や勝組の父

3月24日(水)

  [このドラマは、七十年ぶりに帰国した姉ハルと妹ナツが再会する現代部分と、ふたりの手紙や回想により明らかになるブラジルと日本の七十年間、の二重構造で成り立つドラマ]
 一九三四年(昭和九年)、北海道の寒村から、ブラジルへ移住しようとしていたハル一家。姉妹は「一緒にブラジルへ行こう」と約束していた。しかし、妹のナツが神戸の移民収容所の健康診断で、トラホームと分り、一人日本に残されることに――。
 父・忠次は尋ねる。「妹は行けなくなったが、お前はどうする」。ハルは「私はブラジルに行ってバナナを食べる」と答える。その一瞬、妹との約束を忘れたことが、その後、ハルの胸の奥に長いこと〃トゲ〃となって突き刺さる。「三年たったら帰ってくるから。それまで一人で頑張って」と、姉妹は涙の分かれとなる。
 ブラジルのコーヒー園は、ハルたちの予想とは違っていた。収穫もはかどらず、収支が赤字になると聞き、家族は意気消沈する。兄・茂が病死し、父・忠次は農園からの逃亡を決意する。
 一方、伯母の家に預けられた妹ナツは、しばらくして家出。牛飼いの老人に拾われる。チーズ作りを習い、老人の死後、牛飼いの仕事を引き継ぐ。二人の姉妹は、この間、それぞれが互いへの手紙を書いていたが、それを受取ることができず、歳月は流れる。
 ハル一家は、借地農として綿花畑を順調に広げる。来年は日本へ帰れる、とメドがついた矢先、日米は交戦状態に。地主に日本人追放を命じられ、やむなく奥地の日本人入植地に向かったハルたちは、また一からの開墾で出直す。忠次は入植地のリーダー核・中山耕太郎を目の仇に。ハルはその息子・隆太から求婚されたが、父の反対で諦めざるをえない。
 終戦になっても日本の敗戦を信じようとしない忠次。妻のシズも娘のハルも、その姿を黙って見ているしかない。
 終戦後、闇市のチーズ売りで金を儲けたナツは、アメリカの日系二世ジョージにクッキー作りを習い、お菓子の工場を作る。その後、商売にたけた男・山辺の助言で工場を拡大、山辺の籍に入り、会社を軌道にのせていく。
 ハルの元へ、かつてのコロノの仲間だった山下拓也が訪れる。拓也の申し出を受けて結ばれる二人。一九五九年に忠次が他界した後、一家はサンパウロの近郊へと移り住み、菊作りを手がけ、ハルにも二人の子が生まれる。
 七七年、長男・達夫がハルの反対を押し切ってブラジル人女性と結婚。ハルは「ブラジル人」になりたいと思ったが、心に刺さったままの〃トゲ〃がそれを許さない。
 ハルは新たな時代を迎えるが、常に大家族が共に暮らす生活を送ってきた。
 一方、ナツは菓子会社を拡大して東京に進出。大手メーカーの道を歩むが、子どもたちは次第に離れ、孤独な一人住まいの女性社長になっていく。
 二〇〇五年、お互いの過去を語り合った二人の姉妹。「約束守らなくてごめんね」と謝る八十歳のハル。語り合う中で、約束を懸命に守ろうとしていたことを知り、妹ナツは許す気持ちに。ハルがブラジルへ帰り、再びの別れとなる二人だった。が……。