ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | EU農産物市場30%開放へ=メルコスルに提案=共同市場会議が急展開=残る70%、本会議で交渉

EU農産物市場30%開放へ=メルコスルに提案=共同市場会議が急展開=残る70%、本会議で交渉

3月23日(火)

  【エスタード・デ・サンパウロ紙二十二日】ブリュッセルで開催されているEU・メルコスル共同市場会議でEU代表は二十日、メルコスルに対し農産物市場の三〇%を開放すると提案してきた。これで世界貿易機関(WTO)に加盟するEU加盟国の全てで、メルコスルは三〇%の農産物取引を確保したことになる。メルコスル代表は四月十五日、EU市場参入に期待をかける国々と本会議で、残る七〇%について打ち合わせる。

 硬直状態にあったEU・メルコスル自由貿易協定の交渉は、ようやく雪解けの兆候が見えてきた。具体的内容については未知だが、EUが農産物の三〇%をメルコスルに開放することで譲歩する意志を示してきた。メルコスル代表は思いがけない提案に、今後の推移を期待している。
 EU加盟各国は、同提案を各国議会にかけて承認を得なければならない。これまでメルコスル案は対EU交渉で、全面開放を要求した第一案とドーハ会議宣言の具体化を要求した第二案、二回とも拒否された経緯がある。三〇%開放が実現するには、まだ長い但し書きが付くと予想される。
 EUの新提案は新規提案なのか前回の補足案なのか、メルコスル代表は模索している。EUは二十九日、実務者レベルの高官をメルコスルへ派遣。そのとき新提案の具体的な内容説明と、メルコスル側の見返りを引き出す。それを根底に四月十五日、次回会議で提案発表の運びとなる。
 メルコスル側四カ国は各国の事情があり、一枚岩ではない。メルコスル代表の交渉戦略には、同盟国の抜け駆けも予想される。ブラジル代表はメルコスル代表の他に、G20途上国代表とケアンズ・グループ(農産物生産国)代表の役目も兼務している。
 しかし、メルコスルが独自にEUと三〇%枠の農産物協定を締結すると、中国やインドがどのように反応するかが懸念される。また中南米諸国も、海外投資を視野に入れた有利な代替案を提出すると予想される。ブラジルが農産物輸出で優遇されたら、どの部門が代償として犠牲になるかも懸念されている。