ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | 子供たちが街頭芸披露=日に20R$、家計を助けて

子供たちが街頭芸披露=日に20R$、家計を助けて

3月23日(火)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙】タミーレスちゃん(一四)とアンドレイ君(一三)はサンパウロ市北部ジャルジン・ヴィスタ・アレーグレ区のファヴェーラに住む近所の友達同士だ。二人は街頭芸を見せるためにバスを二台乗り継いで、スマレ大通りとジョアン・ラマーリョ通りの交差点までやって来る。
 一年前にはお金を乞うていたタミーレスちゃんは他人のやっている街頭芸を見よう見まねで覚えた。二人は交差点で信号待ちをしている車の前でちょっとした芸を披露し、小銭を乞う。「一日に二十か三十レアルは稼げるよ」とアンドレイ君は話す。街頭芸を覚えてから収入は増えたという。
 アンドレイ君は稼いだお金をすべて失業中の母親に渡す。母親はちょっとしたパートの仕事をしながら二人の子どもを育てている。タミーレスちゃんも家計を助ける。九人兄弟で、一人は父親、もう一人は祖母、他の七人は母親、くず鉄回収業者の義父と住んでいる。
 街角で芸を見せ、あめを売り、車のフロントガラスを洗い、お金を乞う子どもや若者が何人いるのかは定かでない。しかし、その数は増えつつある。あるNGO団体が今年一月にピニェイロス区役所の管轄地区で児童労働の実態を調査した。イタインビビ区、ピニェイロス区、アルト・デ・ピニェイロス区の交差点で働く子どもたちは一週間で四百八十人に上った。
 タミーレスちゃんは小学三年生だが「ほんの少し」しか読み書きができない。アンドレイ君は六年生だ。二人は三時になると、昼の混雑が終わったピッツアリーアやシュラスカリーアに行って残り物を貰う。「捨てるよりはあげるほうがまし」と、レストランの支配人は二人を助けながらも、仕事については賛成していない。「まる一日そこにいるなら、いつ勉強するんだ?」。
 「心がしめつけられても、お金をあげてはいけない」とサンパウロ市社会支援局のローゼ局員はコメントした。お金を稼げば稼ぐほど子どもたちは路上に残り、あらゆる危険にさらされるからだ。こうした子どもたちのほとんどは学校に通いはするがたまにしか行かず、親に街頭芸を強要されているという。
 連邦政府が協力する『児童労働根絶プログラム』は路上で仕事する子ども一人につき四十レアルを支給し、サンパウロ市全域では二千人の子どもが対象となっている。ローゼ局員はまだまだ足りないと話す。「一年以内なら仕事をやめさせやすいが、その後は難しい」。
 アンドレイ君の将来の夢は消防士になること。「火を消して、人を助けるんだ」。タミーレスちゃんはサーカスの曲芸師を夢見る。一度も見たことがないサーカスの曲芸師を。