3月20日(土)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十九日】地理統計院(IBGE)は十八日、小売市場の一月売上高が昨年同月比で六・〇九%上昇したと発表した。過去十二カ月の累計で見ると二・八九%減ではあるが、月別で見ると過去三年で最高の取引高であり、消費市場に回復の兆候がみられると関係者は喜んでいる。景気回復へ向けた年初の動きとして、幸先がよいと市場は好感。一月には家電製品の一〇・二四%の価格調整も、売り上げ増に貢献している。
新政権が発足した昨年一月の消費市場は〃死に体〃状態にあったこともあるが、今年一月の消費市場は昨年比で三年振りの活況をみせた。政府の低利小口与信が購買欲を刺激し、家電製品の売り上げを伸ばした。引き続き二、三月も動きが継続すれば景気回復は始まったと、関係者はみている。
今年初めの経済情勢は、昨年同期より明るい。インフレは鎮静されたし、金利も低い。消費者が、羨望の高額商品に手を出し始めた。商品別で売れ筋を見ると、家具や電子機器が一九・六二%と伸びた。〇・二五%の基本金利引き下げは、下げ幅僅少といえども市場回復への心理的インパクトはあったようだ。
中央銀行経済局は一月の購買意欲の高まりだけで、景気判断は早計としている。勤労所得の回復が重要だという。昨年同月比は昨年が異常に低かったため、数量でみた実質的な伸びは二・三%と述べた。
消費者の反応からみると、一年間の耐乏生活から解放された喜びを発散している。流通の早さに〃札の色〃も見えなかった時期は、終わったという実感が甦っている。消費者は家庭に新しい家電製品が入るごとに、生きる喜びを感じる。殊に老いた母親に小さな家電製品を贈る喜びは、庶民の生きがいだという。
商店主たちは、全く景気回復の実感がないという。往年のG・アロンソン王国を築いたギルス・アロンソン氏は、マッピンの閉店とともにサンパウロ市中心街は閑古鳥の鳴く街と化したと嘆く。