日本の保険会社、第一生命が募集したサラリーマン川柳の一句「やめるのか息子よその職俺にくれ」。リストラにあえぐお父さんたちのつぶやき。若年層の雇用情勢もけっしていいとはいえないのに、せっかく入った会社をあっさりやめてしまう、そんな若者たちへの〃呼びかけ〃だ。まだ、待ったなし、ではない▼ブラジルは深刻だ。失業は住環境を変える。最近の一伯字紙によれば、昨年末、サンパウロ市の当局が四百二人の失業者を対象に面接調査したところ、一五・九%が、失業の果て、家計が苦しくて引っ越ししたという。そのうち、持ち家を売却して狭い家を借りた人は九・二%であった。住居を格下げしなければ、生活ができないのだ▼大学を中退した四十三歳の軽金属関係工場の課長といえば、中流の下というところだろう。失業前は、車を持ち、クラブ会員で、ケーブル・テレビを視聴、もちろんパソコン、携帯電話を所持していた。それらをすべて売却など処分したあとに来るのが、住居の格下げである▼ブラジルにおける日本移民の場合、農業で〃当てて〃、所得が増えても、多くは一気に生活の質量を拡充しなかった。これは国民性だろう。収入の一〇〇%(あるいはそれ以上)をそっくり生活費につぎ込むことはしなかった。だから、一般的なブラジル人に比較すると、経済情勢の悪化変化にも打たれ強かった▼すでに二十年以上経済が停滞している現在、そろそろ、こうした伝統的な勤倹性は崩されるのであろうか。(神)
04/03/19