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爆破テロでブラジル人1人死亡=マドリード ほかに2人が負傷=米国恐れてスペインへ

3月16日(火)

 【各伯字紙十三~十五日】十一日にマドリードで起きた列車同時爆破テロで、ブラジル人の死亡者がいたことが十三日、明らかになった。
 犠牲者はパラナ州出身のセルジオ・ドス・サントス・シウヴァさん(二八)。同日、スペイン警察がセルジオさんの身分証明書を事件現場から発見し、友人らに身元不明の遺体の写真を見せて確認を依頼した。
 友人のクラウデミール・ジャーネスさん(三〇、ブラジル人)は、「あの写真では確認は不可能だ。あれは人間の肉塊だった。なんという悲劇が起きてしまったんだ」とショックを隠せない。スペイン警察側は、友人らにセルジオさんの遺品を求め、DNA検査で遺体の確認を進めている。同日、友人らは、同州サントメー市の遺族にセルジオさんの死を伝えた。
 クラウデミールさんによれば、セルジオさんは六カ月前からスペインに不法滞在、建設業関係の仕事をしていた。「セルジオのパトロンからセルジオが出勤していないという電話があった。仕事を休まない人だったので、テロに巻き込まれたという結論に至った。それから警察に通報し、パトロンと一緒に遺体の確認を急いできた。彼が被害者だったという確証は十三日、身分証明書が発見されたことで得られた」。
 サントメー市のアルレイ・H・ビアッツィ市長(四七)は十五日、同市民に喪に服すよう求めた。セルジオさんは妻と四歳の子供をサントメー市に残している。
 ブラジル人負傷者も二人出ている。アデイウド・アウヴェス・ドス・サントスさん(二八)と男性一人(名前は公表されていない)で、現在入院中。二人は、オスマール・ショーフィ在スペイン・ブラジル大使の訪問を受けた。
 二人は頭部の手術を受けたが、会話ができるほど回復している。アデイウドさんは体中の痛みを訴えながらも、大使に「今はタバコが欲しいよ」と冗談を言うほど気力を取り戻しているという。
 大工のアデイウドさんは事件当日、アトーチャ駅のホームに入ろうとしていた電車の中で、携帯電話ゲームをしていた。アデイウドさんはガールフレンドの携帯に電話をして伝言を残した。「落ちたぞ、落ちたぞ!」という声が録音されており、アデイウドさんの弟、ジョジエルさん(二六)は、「被害者たちの声が録音されたのだと思う」と推測する。
 家族がアデイウドさんの行方を知らされたのは、事件から九時間後の同午後四時三十分ごろ。手術を恐れて拒否するアデイウドさんの処置に困っていた病院側が連絡してきたという。手術は同午後十一時から翌午前四時まで続いた。
 ジョジエルさんはスペインに住んで五年になり、アデイウドさんは休暇を利用して弟を訪ねていた。事件当時、友人の家の窓を取り付けに行くところだった。アデイウドさんは初め、米国へ行くつもりだったが、テロを恐れて旅行先をスペインに変更したと、母親のゼニウダさんは息子の皮肉な運命を語った。
 スペイン政府は先週、マドリードのテロ事件で負傷あるいは死亡した被害者とその家族にスペイン国籍を与えると発表。十四日、ブラジル国家人権擁護局のニウマーリオ・ミランダ長官は、その情報を確認したと声明した。アルベルト・バルシエラ在ブラジル・スペイン大使によると、二重国籍を得る権利があるのは被害者の両親、妻、夫、子供たち。死亡者の遺族には賠償金が支払われる予定だという。