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囲碁普及、育っている〝若い芽〟=EEBEMにフランス人=全伯名人戦にも出場=棋院が指導した初、二段クラス

3月13日(土 )

  ブラジルに囲碁ブームを起こしたい――。日本棋院南米本部(岡正躬理事長)が毎週末、初心者向けの入門講座を開き、後継者育成に乗り出している。名人戦が十四日にスタート。来月十八日まで、熱い戦いが繰り広げられる。初段~二段戦の優勝候補には同講座出身者がずらりと並ぶ。組織の生き残りもかけ、同本部が囲碁文化の普及に狼煙を上げた。
 「碁盤の隅を囲うのは、簡単。でも、中央に陣地をつくろうと思ったら手間がかかります」
 サンパウロ市ヴィラ・マリアーナ区の同本部会館。六日午後に、フランス人のディディエル・レヴィー・ソウザンさん(四八)が大学生三人を相手に、基本的な碁の打ち方を教えていた。自身が作成したテキストを基に、最善手を教授。論理的な解説を加えた。
 同本部が初心者向けの囲碁講座を始めたのは約一年ほど前。日系の囲碁人口に歯止めをかけようというのが動機だった。
 日本でマンガ「ヒカルの碁」がヒット、子供たちの間で囲碁ブームが巻き起こったこともあり、生徒はどんどん増加。これまでに約二百五十人が受講した。毎週末に、新規希望者が四~五人くる状態が今も続いているという。
 授業は金曜日が午後五時~午後十時、土・日曜日が午後二時~午後七時までで、最初の二カ月は無料。ソウザンさんは金・土曜日を受け持っている。
 平日に同本部に足を運んで対局を楽しむという青年は、案外少ない。だから、シルバー世代が目立つ。が、現代は、インターネットの時代。若い世代はコンピューターを利用する。
 平松幸夫副理事長は「初心者は、ここではなかなか、同じレベルの相手を見つけることが出来ない。でも、インターネットを使えば、世界中に友達の輪が広がる」と話す。同本部も最近、ホームページを立ち上げた。既に、四万件のアクセスがあったという。
 ファビオ・ヤマシタさん(初段)、オオカワ・ヒロアキさん(一四、初段)、アマーロ・ソーザさん(一五、二段)、フラビオ・ハラ・ノボルさん(三段)が若手の注目株。いずれも、入門講座の受講者で、短期間に昇段を果たした。
 「頭を使って考えるのが一番の魅力。精神的にもいい作用が働く」とソウザンさん。囲碁暦は二十年近くになり、今は碁を教えて、生計を立てている。
 サンパウロ郊外のあるFebem(少年院と少年刑務所を合体させた施設)が、非行少年の更正プログラムに碁を採用。ソウザンさんが講師に招かれた。職員に手ほどきをしている最中で、碁盤も徐々に、増やしていっているそう。
 さらに、レッジ・レコルドの新ドラマ、「メタモルファーゼ」で碁の対局シーンが紹介される予定。製作者が同本部に碁石碁盤を借りに来た。一般市民への広報につなるがるはずだと、関係者たちの目じりが下がる。
 南米本部のサイトはwww.planeta.terra.com.br/esporte/go。