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ブラジルで「一人っ子」増加=負担大きい教育費=高所得・高学歴夫婦に多い

3月 9日(火)

  【ヴェージャ誌】二、三十年前に一人っ子は奇異の目で見られたものだったが、現在、一人っ子は収入が最低賃金の五倍(千二百レアル)を超える四百万人の夫婦では普通となってきている。二〇〇〇年の国勢調査によると、こうした家族の十家族に八家族は子どもが一人しかいないという。

 ブラジルでの出生率の低下は地方から都市への移動が加速した六〇年代以降ずっと続いている。七〇年に女性は平均五・八人の子を生んでいたが、八〇年に四・三人、九一年に二・九人、二〇〇〇年には二・四人にまで急速に下がった。
 最低賃金の五倍の収入がある家族の平均出生率は一・一人で、これはヨーロッパの平均一・五人より低い。サンタ・カタリーナ州では〇・九人、リオ・グランデ・ド・スル州では〇・八人にまで下がっている。
 出生率は家族の収入に反比例する。収入が最低賃金の四分の一以下の家族では出生率が五・三人。四分の一から半分までは三・三人、半分から最低賃金までは二・四人、最賃からその二倍までは一・八人となる。
 二〇〇〇年国勢調査は一人っ子が十一年以上教育を受けた母親の間で多いことを示している。労働市場でより高い地位を占めるようになった女性たちは、自分たちの母親や祖母が結婚し、最初の子どもを持った年齢の頃に、キャリアを優先させる。「多くが三十五歳を過ぎて第一子を産むようになり、二人目を持つ可能性を減らしている」と心理分析家のガニーメさんはコメントした。
 親が一人っ子を望む大きな理由がある。「より簡単により安く」だ。
 中流階層の家庭で子ども一人を大学卒業まで育てると、約三十二万レアルかかる。中上流階層の家庭では六十万レアル、上流階層では百万レアルにまで達するという。もし子どもが二人いれば、単純計算でコストは二倍になる。親の多くは子どもの教育への投資を考えて一人っ子を選択する。
 過去に一人っ子は甘やかされるのでよくないと言われてきた。「もし両親が限度をわきまえなかったら、将来子どもは欲求不満に対する抵抗力が全くなくなってしまう」と心理学者のシウヴェイラさんは話す。しかし、大人たちとの会話が増えるため、一人っ子は同じ年の子どもたちよりも言葉が洗練される傾向があるという。
 経済的発展の観点からは、一人っ子はブラジルにとってプラスとなる。「家族の可処分所得が増え、それが経済成長にも貢献する」とエコノミストのネリ氏は話す。二人目、三人目の子どもに費やされるはずのお金が投資、住宅や別荘購入などに回ることもあるからだ。また高い教育を受けた子どもが成人となる二十年後に高い質の人材が労働市場に供給される可能性も指摘できる。
 しかし、長期的にはリスクもある。少子・高齢化に伴う問題は労働の問題だ。労働者が不足する中、誰が高齢者を養うのか? 現在は総人口の一三%を占める二千三百万人が年金生活者だが、このペースで減少が続けば四十年後には全体に占める割合が二三%にまで増加するのだ。