3月 5日(金)
隣国パラグアイ。日本移民の歴史は一九三六年のラ・コルメナ移住地創設に始まる。本格的な計画移住は戦後になってからだ。一世の高齢化が進み、ここ数年、福祉対策が懸念材料として頭をもたげてきている。六十五歳以上を対象に高齢者アンケート調査がこのほど、同国内九カ所で実施された。ブラジル日系社会と同様、老人ホームへの入所は敬遠される傾向にあるようだ。
この調査は国際協力機構(JICA)パラグアイ事務所が首都アスンシオンをはじめ、ピラポ、ラ・パスなど日系人の集住地域で行ったもの。パラグアイ日本人会連合会が簡易集計・分析について委託を受けた。
世帯構成、収入、医療保険の有無、余暇の過ごし方など二十項目。要介護老人実態調査(ブラジル)を参考に作成したという。同国JICA職員三人が日系の福祉対策を視察するために来伯、地域別の結果報告書を援協事務局に届けた。
それによると、六十五歳以上の人が日系人口に占める割合は一三%。パラグアイ日系社会も高齢化社会を迎えていると言える。
独居老人や高齢者世帯について、アスンシオンが二八%、ラ・パスが二一%、ピラポが一一%などとなっており、地域差が大きいようだ。
いずれの地域でも、経済的に家族に頼って生活している人が圧倒的に多い。収入について、「勤労収入」が「年金」を上回っている。医療保険に入っている人は、アスンシオンが三二%。ピラポは六%、イグアスが一一%に留まった。
余暇の過ごし方では、読書やテレビ・ビデオの鑑賞など室内の娯楽が顕著だ。
希望する介護サービスは全体的に「訪問介護」もしくは「病院」と答えた人が目立つ。一方、「老人ホーム」と回答した人はアスンシオンが七%、ラパスが八%、ピラポが五%などといずれも低率だった。