3月 4日(木)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十五日】グロバリゼーションによる開放経済の結果、先進国と発展途上国の所得格差が拡大したと国連の国際労働機関(ILO)が調査報告を発表した。調査は、ルッチ・カルドーゾ前大統領夫人やノーベル経済学賞受賞のスチグリッツ教授など二十六人の意見を取り入れた。
グロバリゼーションが促した市場開放は、商品や技術、情報などの提供で世界に図り知れない経済効果をもたらした一方、解決の見込みがない地域紛争と人類に不吉な未来を暗示したことも事実だ。
例えば中国は市場開放を行った一九九〇年以来、一億六千万人の低所得者を減少させた。ブラジルやその他のラテン・アメリカ、アフリカ、東ヨーロッパ諸国は同時期、低所得層が増えた。グロバリゼーションは、それを活用できなかった国々を大きく引き離し、社会不安を生み出し貿易摩擦の原因となった。
世界全体ではグロバリゼーションを生かし経済を成長させた国よりも、ブラジルのように乗り損ね貧困化した国が、はるかに多い。グロバリゼーションは途上国に汚職体質やテロリズムを生み出すなど、歪んだ世界の様相を呈してきた。
国民性がグロバリゼーションに適さない国々では、このシステムによって消化不良を起こした。ブラジルはFTAA(米州自由貿易圏)交渉で、グロバリゼーションの矛盾を身にしみて感じた。先進国は、自国優先のグロバリゼーションを主張して譲らない。世界的な社会不安となって、ますます消化不良はエスカレートして行きそうだ。
国際市場は不確定化し、国際政治のグロバリゼーションは脅かされている。世界で失業者が、一億八千五百万人いる。これは労働者人口の六・二%に当たる。所得格差では世界の一四%の市民が、世界資産の五〇%を所有するに至った。
一人当たり所得は一九六〇年、極貧国で二百十二ドルに対し富裕国は一万千四百ドルだ。それが二〇〇二年になると、極貧国二百六十七ドルでわずか二六%増に対し、富裕国は一八三%増の三万二千三百ドルと格差を大きく広げた。
グロバリゼーションは、大部分の国民から適切な就労の機会を奪った。子孫には、希望ある将来を約束しないことが明確となった。世界貿易システム是正のため国際通貨基金(IMF)や世界銀行(IBRD)などの協力で、基本的規約の作成を国連は提唱した。
国連は報告書を、次のように結んでいる。一、国際取引では、途上国経済を圧迫する貿易障壁を低減する。二、海外からの直接投資は途上国の経済発展を優先させる。三、国際金融はグローバル経済を育てるために便宜を与え、投機に一定の規定を設ける。