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広がる終末医療=より人間的応対目指して

3月 2日(火)

  【フォーリャ・デ・サンパウロ紙】終末医療は、言葉が示すように、医学を通じて病気を治療する可能性は尽きたが、痛みの緩和など、病人を支援する可能性がまだ残っていることを意味する。その主な目的は、世界保健機構によると、患者とその家族へのより良い生活の保証である。
 ブラジルでは最近になって終末医療への関心が高まっている。終末医療を提供する最初の病院は一九八三年にポルト・アレグレ市で設立された。現在、末期患者を受け入れる病院は国内三十一カ所(十三カ所はサンパウロ州)にある。
 サンパウロ市では九〇年代以降、病院内で終末医療が始まった。〇二年一月にNGO団体は保健省の承認を得た終末医療支援計画を策定した。それ以後、同NGOは患者を受け入れる病院の全国ネットワークを構築すべく取り組んでいる。もう一つ、終末医療に必要な知識を身につけた専門家の育成プログラムがブラジル医師会の協力を得ながら、開発されつつある。
 終末医療は人間的応対と、従来とは異なった方法を活用する。例えば、サンパウロ連邦総合大学の救急治療室では、誰も白衣を着用しない。白衣が患者に痛みと苦しみを思い起こさせがちだからだ。白衣を着用しないことで、医師と患者の関係はさらに打ち解け、信頼に満ちたものになるという。
 過去に行われていたように、患者との接触は病院に制限されない。医師たちが患者の家にまで行き、家族と話し、ベッドの横に立って患者の訴えを聞き、診断を下す。
 終末医療を始めてから、前立腺ガンを患うアブダラさん(五六)はモルヒネの投与を受け、肉体的苦痛は和らいだ。苦痛の緩和は家族も感じている。「家族の苦しみが大きいのは明白だ。しかし、終末医療は、生命の自然なプロセスとしての死に家族が向き合う手助けをしてくれている」とアブダラさんの息子は話している。